地味な仕事人(小林慶行)

今日は、翌日は休みなので即日更新できるかもしれませんが、夜中になってしまう恐れが高いので、予め穴埋めネタを用意してから埼玉スタジアムへ出かけます。今回ネタにするのは、大宮アルディージャのボランチ、小林慶行選手です。小林慶行は、大学卒業後、東京Vに入団し、早いうちにレギュラーになっています。

しかし、ユース代表などになったわけでもないですし、浦和戦では相手のボランチに目をやることは少ないです。いつも出ている選手なんだけど、なかなか特徴がわからないなあと何となくすっきりしない気分で見ていた選手でした。東京Vの試合を、浦和戦以外で見ることはあまりないだろうと思っていましたが、1回絶好のチャンスがありました。

それは、浦和の決勝進出を信じてチケットを買ってしまった(浦和は準決勝で敗退)、天皇杯の決勝戦の東京V対磐田戦でした。当時の東京Vは、Jリーグの伝説に残る名将(もっとも翌年降格させてしまうのですが)と言われていた、アルディレス監督が率いていました。このときの東京Vは、黄金時代のメンバーが多く残る磐田に対し、決して内容で負けていませんでした。

その東京Vの中盤を支えていたのが小林慶行でした。当時の東京Vは、林健太郎(現甲府)の1ボランチに、小林慶行と小林大悟の二人の小林が、前目に並んで守備と攻撃の両面で効く役割をしていました。このとき、なぜ小林慶行が目立たないかという理由もはっきりしました。

それは、小林慶行の役割にありました。小林慶行は、常にボールを受けやすい最適なポジションに動いて、短いパスで近くの味方にパスをするという、注意していなければわからないような地味な役割をこなしていたからです。決して、ブラジル人のボランチのような、浮き球で前線にロングパスを送るような派手なプレーは一切しないのです。

しかし、そんな小林慶行のことを、当時のアルディレス監督はその試合のベストプレーヤーと誉めていました。サッカーにはこんな選手も必要なんだと、サッカーに対する考え方が変わるきっかけになった選手でした。今でも、大宮の試合を見に行くと、小林慶行は最適なポジションを取って地味にパスを供給しています。なかなか目立ちませんが、一度目をやってみると面白い存在です。