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昨夜に続いて、NHKでグリコ森永事件のドラマとドキュメンタリーのハイブリッド番組があった。
今夜は7時40分~10時までという超ロング版だった。
もちろん番組の最後にクライマックスとなっていた。
事件後27年というこの時期に番組をつくったという意味は大きい。
当時、現役だった捜査官、記者は今は職を去っているが、当時の記憶が鮮明であること。
記者の取材はそう困難とは思えないが、警察の取材はかなり難しいと思われたがそれもできている。
NHKが新たな情報を見つけ出し、解明していくことができたことは高く評価されるべきだ。
事件当時、有力な物証の一つに録音テープがあった。億単位の金銭を受け取る場所を指定するため電話連絡内容のテープを音声鑑定し、30~40代の女性1名と男子小学生1名と想定して捜査を進めた。しかし現在の音響研究技術で再検査すると男子小学生2名と10代の女性の声だと判明した。
もう1点は、高速道路での金銭の授受指定場所が想定外の滋賀県にまで拡がっていったことで、大阪府警と滋賀県警の連携の問題が出てきたこと。
大阪府警は他府県の警察が捜査に関わる必要がないとして連絡はとらなかったが、滋賀県警は警察無線で事件経過を聴いており大阪府警の動向を把握していた。
滋賀県警は自分たちの所轄での事件を黙って見過ごすことはできなかった。
秘密裏に捜査員をサービスエリア内や覆面車両に配備していた。
このことを大阪府警はまったく知らなかった。
この番組がそのことを明らかにした。
連携の悪さを悔いることばが現場の捜査官の口からつぶやかれる。
滋賀県警のパトカーが犯人の車を取り逃し責任を感じた本部長が焼身自殺をするという悲劇も起こった。
滋賀県警は深い傷を負った。
実は、この事件の総括を警察は行っていない。
それは、未解決の事件の総括などできない。解決してから総括するものだという考えがあるという。
これにはびっくりした。
未解決=失敗からこそ学べるといういうのが、今や一般的な考えである。
失敗は苦い。忘れたい。
それでは学ぶことができない。
警察も少しは分かりかけてきたのかもしれない。どうだろう。