北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

できることはやってもらう ~ 冷たいようで冷たくない見守り

2024-10-09 21:16:22 | 介護の世界

 

 91歳になる母親は94歳の父と夫唱婦随でいまでも一軒家で暮らしてくれています。

 父は短期記憶が相当に怪しくなっていて昨日のことはおろか、数時間前に食べたものも思い出せないような状況です。

 それでも杖なしで歩くことができ、食事もトイレも介助なしで自分でできます。

 またデイサービス施設で入浴サービスを受けた時も、施設の担当者が見守ってくださっていた時には浴槽をまたぐことも問題なく、頭と背中を洗ってあげるだけでそれ以上の介助はなかったとのこと。

「ちなみに自分の服は分かるんですか?」と訊いてみたところ「いえ、それは担当者が『お着替えはこれですよ』と教えてあげますね」とのこと。

 父はデイサービスの施設で、「子供が3人います」と言っていたそうですが、妹の名前も先日亡くなったことも覚えていなかったそうです。

 それはそれで父なりの幸せなのでしょう。


      ◆


 一方母の方は、腰が曲がってしまっているものの時間をカートを押しながらかければ歩ける、と頑張っています。

 先日は私の買い物サポートに頼らずに一人で数百メートル先の食品スーパーまでカートを押して出かけたのだそう。

 ところがスーパーの中で携帯に電話が来て会話を終えた後で買い物を続け家に帰ってきたところ、その携帯電話を見失ってしまったのだそう。

(スーパーのどこかで落としたかしら)とまた父を連れてスーパーに戻り、サービスカウンターに届いてないかと思いきやそれもなし。

「電話をかけてみてはいかがですか」と言われて、お店の方に自分の携帯にかけてもらったところ、持参していた普段は携帯を入れない別の買い物袋の底に入っていたのだそう。

「焦って、もうどきどきだったわ」と言いながら、買い物に出かけることはあきらめません。

 私が車でスーパーまで連れて行けば、あとは店のカートを押しながら店内を歩くことはできるので、そこで商品を選んで欲しいものを買う、というのは母にとってはルーチンでありながら楽しみでもあるのでしょう。

 だから買い物の最中は、「高いところのあれを取って」と言われたりしない限りは一切余計な声をかけないようにしています。


        ◆


 「介護の三原則」というのがあります。それは
① 生活維持の原則
② 自己決定の原則
③ 残存能力活用の原則  …の三つと言われています。

 ①の生活維持の原則とは、高齢者にもできるだけこれまで通りの日常生活を送ってもらうべきという考え方です。

 日常の環境をできるだけ変えないように心がけたいところです。

 ②の自己決定の原則とは、あくまでも生き方や暮らし方は本人がきめるべきだ、という考え方です。

 本人たちの意思を尊重せずに勝手に「こうしたから」と決めてはいけないということです。

 ③の残存能力活用の原則とは、本人たちができることはなるべく自分自身でやってもらうようにするという考え方です。

「〇〇をして」と言われない限り、先を見越してやってあげるべきではありません。

 それで時間がかかったり非効率だとおもったりしても、それを自分自身で一生懸命にやることが意欲と能力の継続に繋がります。

 なので、母の買い物は本人がやりたくてやれる範囲でやっていることなので、サポートをしつつ余計なことはしない、というスタンスで臨んでいます。

 まして、「早くして」とか「こんなの買うの?」などと言うこともなく淡々と見守ることが一番です。

 私は買い物の最中に「これ買ってちょうだい」と果物などをおねだりすることもあるのですが、そういうサポートとして付き合ってあげているという貸し借りの帳消しみたいなこともあってよいと思っています。

 とにかく老いたる両親の日常をできるだけ長くぎりぎりまで続けるということを目標にしています。

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デイサービス施設との契約手続き ~ 何枚書類を書くの?

2024-10-08 22:09:54 | 介護の世界

 

 高齢の両親に在宅での暮らしを維持するために、日常にやれなくなったことをサポートしてもらうためのデイサービス利用を進めてから一か月。

 この間家事を一手に担っている母は、「お父さんがシャワーの使い方が分からなくなっているのでお風呂で頭と背中を洗っている」という入浴サポートの苦労を述べ、自分自身は「筋力をもう少しつけたいんだけど」と、自身の体力の維持に不安がありました。

 そこで両親の住む自治体の包括支援センターで両親の担当をしてくれているケアマネさんに相談したところ、要介護1の父には『入浴ができるデイサービス』の施設利用を勧め、また要支援1の母には『リハビリ特化型のデイサービス』利用を勧めてくれました。

 それぞれ体験利用をさせてもらって、父は最初に行った施設が気に入ってそこに、また母も一度利用してみたところが楽しかったとのことで、それぞれ利用する施設を決めました。

 そこで先日、ケアマネさんとそれぞれの施設の担当者が両親を訪れてくれて、私も立ち会った中で施設利用の契約を結ぶこととなりました。

 
 まずはケアマネさんの前で、施設の担当者が両親それぞれのお試し利用の際の状況を報告。

 父については、「お父様は施設についた後も杖がなくてもすたすた歩かれて、入浴の浴槽をまたぐのも問題なし。ちょっと『財布がない』と動揺されてお母様に電話しましたが、『持たせていない』とのことで本人納得でした。
 歌のレクリエーションに参加されて、歌うのが好きそうでしたがカラオケの順番が来ても『何を歌いたいかわからなくなった』とのことで、ちょっと残念そうでした」と報告がありました。

 すると母が、「地区のカラオケでは歌いたい曲のカードを持っていくんですよ。今度はそれを持っていくと良いと思います」と、普段庁内のカラオケ会に参加するときのカードを見せてくれました。

「これなら次回からは歌いたい曲が歌えますよ」と施設の担当者も安心した様子。

 こういう情報を共有しておくことでより満足度の高いサービスが受けられるというものです。


      ◆


 母については、「お母様の方は体操のプログラムを難なくこなして、『そろそろちょっとお疲れならやすみましょう』と言ったのですが、『いやそれもやりたい』とのことで、タオル体操などもこなして9時25分から11時15分まで訓練メニューに汗を流されました。
 最後の方でバイクに乗るメニューがあって、初めてで疲れたろうと通常は10分のメニューですが、お母様には5分のメニューでやっていただきました」と報告。

 すると母は、「あのバイクですけど、次からは10分やらせてください。ちょっと物足りなかったので」と意欲が増しています。

 施設を利用して回りの友達からは「筋肉痛になるんだよ」と言われて、確かに「二日後に痛みが来て湿布を貼りました(笑)」とのこと。

 そうした施設利用状況の情報を全員で共有したうえで、こちらの施設にお世話になるという契約書を交わします。

 ところがこれがまあ書類の量が半端ではありません。

 契約書に加えて利用料の引き落としの銀行口座も登録するので、住所と名前を書き込むのが全部で7~8か所の欄になり、印鑑が必要なところは押印をします。

 挙句にものによっては「ご家族欄には息子さんにお願いできますか」と私も何か所も住所と名前を書き込みます

「こんなに住所と名前を書き込まないといけないのですか」 
「ええ、そうなんです。一か所の書き込めば全部用が足りるようにしてくれるとありがたいんですが、今の制度はそうなっていないので…」

 担当者も申し訳なさそうにしていて、まだ母の様に頭もしっかりしていれば良いですが、独居で高齢の方となるとこれを説明して納得してもらって住所と名前を書き込み、契約書と銀行契約を印鑑付きでやるとなるとかなりの苦労とお見受けしました。

 全部でまるまる2時間はかかった契約手続き。

 いつかはやらなくてはいけない手続きなのでとにかく勢いでやってしまえて良かったです。

 施設やケアマネさんによる見守りは、人生の最終盤を迎えるためには必要な関わりになってくることでしょう。


       ◆


 多少のお金はかかったとしても、お金の問題ではなくこうしたサービス利用に踏み出してもらうことがとても大切です。

 もしも「自分はまだ大丈夫だから施設なんか一切利用していない」と豪語されているご両親だとしたら逆にいざというときに危ないと思うべきなのかもしれません。

 歳相応の振舞いとはなにかを考えるきっかけになりました。

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父の二つ目のデイサービスはミスマッチだったようです

2024-10-04 21:54:49 | 介護の世界

 

 今日は父が二つ目のデイサービス施設を体験利用した日でした。 

 今度の施設は一軒家を改造したくらいの小規模なデイサービス施設ですが、割とショートステイで宿泊がしやすいとのこと。

 ケアマネさんからは「お母様に何かあったときにお父様が宿泊サービスを受けたい、ということであればこちらを利用するのも一つの手だと思います」と提案された施設でした。

 母は「ちょっと狭そうなんだよね」とあまり乗り気ではなかったのですが、「まあ父さんがどう思うかだし、ショートステイ狙いでまあ体験はしておくといいのじゃないの?」と私の方が強く体験する事を勧めたものです。

 
     ◆


 夕方になって母から電話がありました。

「で、父さんはどうだった?」

 すると母はちょっと暗い感じで「なんか『面白くなかった』って言うんだよ。それにお風呂も入ってこなかった」

「ええ? それはよほどのことだね」
「うん、ケアマネさんからそっちに電話がいったかい?」

「あ、充電中で取れなかったかもしれない」
「そう、こっちにケアマネさんから電話が来たんだよ。ケアマネさんも心配で利用状況を見に行ったんだって、そうしたら施設は小さいし、お父さんも『お昼ご飯が少なかった』と言うし、全然楽しそうじゃなかったんだって」

「あらら、そう?」
「後からパンフレットを見たんだけど、なんか女の人向きのプログラムばっかりなんだよ。掃除をしたり体操をしたり料理をしたりするんだけど、それってお父さんは普段しないしさ。 送り迎えをしてくれたのがすごく若くてかわいい女の子だったんだけど、送ってくれた時に『今日はパンを作ったんですよー』って言ってさ。それって全然お父さんには合わないよね」

「そうかー、いやー、じゃあだめだね」
「うん、ケアマネさんも『こちらはよしましょう。前回の方がカラオケもあって楽しそうでしたから』って言うしさ。だから来週契約するけど、お父さんは近くのカラオケのある所で週に2日にしようと思うよ」

 
 父は認知症が進んでいるとはいえ、その瞬間が楽しいか楽しくないかという感情はあるので、さすがに今日の施設では全く楽しめなかったようです。

 でもそれも使ってみて初めて分かったこと。

 提案したケアマネさん自身も「こちらはまだ新しい施設なので私もあまりよく分かっていなくてすみません」と恐縮していました。

 一言で「デイサービス施設」と言っても、数はあるしそれぞれに推しのポイントや得手不得手もあるのですね。

 やはりより多く質の高い情報を得るためにも、専門家の知恵を大いに借りながら自分に合うものを探してゆくしかないようです。

 マッチングの難しさを知った一週間でもありました。

 来週からは落ち着いた利用でできると良いのですが。

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両親の初めてのデイサービス利用

2024-10-02 23:22:19 | 介護の世界

 

 両親の介護支援の続き。

 昨日は94歳の父が入浴つきのデイサービスを体験利用して、今日は91歳の母がリハビリ系のデイサービスを体験利用しました。

 母の方は「いいわー、これからも毎週行きたいよ」ということで、他の施設を利用してみるまでもなく、今日行ってきた施設にいくことにしたようです。

 母は性格が社交的なので、すぐに他の利用者たちとも打ち解けられるところがあります。

 リハビリ系の施設で弱っている体を動かしたり外の人と話をすることでストレス解消になるということもあるのでしょう。


 一方母に施設を利用して帰ってきた父の様子を聞くと、「うーん、どうなんだろね。『どうだった?』と訊いても『なんもだー』っていう返事だからね。カラオケって聞いていたけど歌ったんだかどうだかねえ」と父から詳しい話はあまり聞けなかったようです。

「ただね、ケアマネさんから連絡があって、『いざというときに宿泊できるショートステイサービスが受けられる施設は昨日とは違うところで、そこのデイサービスを契約しないといけない』って言うんだよ。それも場所がちょっと遠いところみたいで、どうする?」

 母は、ショートステイのできる別な施設の利用をためらっているようです。

 しかし私としては、「それはとにかく使ってみて、気に入るかいらないかをそれれから決めればよいのじゃないの? 体験できるんだったらいろいろな違いも分かるしね。 それにお父さんだったら使った感じもあまり覚えていないんじゃないかな?」とアドバイス。

 まずはいろいろな可能性を広げておいて、それから絞り込めばよいのではないかと思い、二つ目の施設も体験させてもらう事を勧め、母も「そうだね」と納得してくれました。


      ◆


 そんなやり取りの後にケアマネさんから私の携帯に電話が来ました。

「お父様とお母様の利用した施設に聞き取りを行ったのでご報告しておきたいと思います」とのことで、気遣いに感謝です。

「まず昨日のお父様ですが、お風呂もちゃんと利用されてカラオケも楽しまれて、『もう一曲歌いたい』と随分喜ばれていたと聞きました」
「えー?そうなんですか?母は『お父さんは何も言わなかったんだよね』と言っていましたが、すぐに忘れたのかもしれませんね」

「そうですか。ただ、施設から帰られるときに『財布を忘れた』と言い出して、周りも探したのですが見つからずお母様にお電話した、ということがあったようです」
「あ、母から聞いています。父は『お金を払わないといけないと思ったんだって』とのことらしく、母から『財布は持たせていませんので』と伝えてそれでOKだったようです」

 どうやらそんな記憶にまつわるちょっとした出来事があったようですが、全体には施設利用は楽しんでいたようです。

 一方で、ショートステイのためには別な施設も利用する必要がある、というお話がありました。

「母から、ショートステイのためには別な施設の利用を勧められた、と聞きましたが」
「それなんですが、ご提案したのは小規模なのですが割と新しい施設でまだ契約者が少なく、それなら何かあっても宿泊できる枠が確保できそうなところなんです。
 お母様の方から、『何かあればすぐに宿泊できるところ』とのご要望だったので、それならそこを普段利用しておけばお父様の様子もわかりつつ宿泊もできることになるので、そちらをご紹介した次第です」

 私の方も「お申し出を理解しました。母には『まずは使ってみて、可能性を広げておく方がいいと思うよ』と伝えてある程度納得してくれたようです」と伝えました。


 まずは初めての施設利用は大きなトラブルもなく、始められたようです。

 施設を利用することで、父と母の普段の様子を外部の方の目で見てもらっているということが重要だと思います。

 ケアマネさんも施設からの報告をきっちり受けているようで、こうして複数の目で見ていることで、何かあった時でも対処方針が立てやすくなることでしょう。

 日常に少しずつ新しい変化を加えてゆきましょう。

 

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分からなかったら聞くのも生涯学習 ~ 介護の勉強も楽じゃない

2024-09-26 23:51:46 | 介護の世界

 

 昨日書いた記事で、両親がそろそろデイサービスを使ってみる気になった、と書きました。

 事前に母から、介護度判定をしてくれたケアマネさんの名前と連絡先を聞いていたので、僭越ながら私から連絡をしてあらためて両親に会ってくれたことが良いきっかけになっているようです。

 おそらく両親の二人暮らしでいたら、ケアマネさんの名刺は持っていたけれど両親から連絡をすることはなかっただろうと思います。

 歳を取ると、「まだ大丈夫」という頑張っている気持に加えて、普段の日常を変えたくない、変えるのが面倒くさい、という気持ちでもいるのだと思います。

 それはそれで尊重したいところですが、第三者の目から見て「もうそろそろ限界が近づいているのではないか」と思うようであれば、まずは素直に行政に相談をすれば良いのですが、それ自体も不安だったり面倒くさかったりということもあるのでしょう。

 介護のサービスをいざ受けようとなると、その前にケアマネさんに相談して適切なプランを提案してもらって、書類にいろいろなことを書き込んで…となんだかんだで結構な手間がかかるものです。

 なので新たな日常に向かって少しだけ背中を押す気持ちで、手助けをすることが必要なのだと思います。


     ◆


 以前、まだ若い後輩が親御さんの介護の事で悩んでいるという話を聞いたのですが、よくよく聞くと行政に相談することもなく、親御さんの症状を述べて「もう大変なんですよ」と嘆くばかりなのでした。

「それって、親御さんのいる自治体の地域包括支援センターに『息子なのですが』と相談すればいいんだよ」と言っても、「そんなことがよくわからないんですよ」と議論が前に進みません。

「そこは制度を勉強し始めると大変だから、まずは地域包括支援センターへ行け!」と強く言ったのですが、その後「相談してみました、ありがとうございました」という連絡があったので効を奏したようです。

 世の中はどんどん変化しているので、時代の最先端について行けるような勉強が必要で、それこそが生涯学習の目的の一つです。

 "リスキリング"と言ってしまうと、副業を目指した資格取得のための勉強のようなイメージが付きまといますが、それを"生涯学習"と言い換えれば、もっと広く学ばなくてはならないという姿勢を問うことになります。

 自分ひとりで勉強するのが難しければ誰かに習うとか教えてもらうという方法だってあるはずです。

「そうか自分はそのジャンル、その分野がよくわかっていないな」ということに気がつくのが第一歩、そして「じゃあ少し本でも読んでみようか」というのが二歩目です。

 自分の背中も少しずつ押してやりましょう。
 

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新しいケアマネさんと両親と私の打ち合わせ ~ デイサービス利用に向けて

2024-09-25 22:15:07 | 介護の世界

 

 先日恒例の両親が介護サービスを受けるべく、地域包括支援センターに連絡を取りました。

 いろいろと息子から見た親の状況をお話した後に、次にはセンターの担当者さんが両親を訪ねて直接話を聞いてくれました。

 両親の強い希望として、①父が一人で風呂に入れなくなり、母が頭を洗ったりする世話が大変、②母も腰が曲がって歩くのが辛くなり、リハビリ系のサービスを受けてみたい、ということが挙げられました。

 母は要支援1で父は要介護1ということで、父の介護サービスを決めるには居宅ケアマネさんが必要という事で、包括支援センターの担当者さんと要介護も要支援も担当できる新しいケアマネさんと私とで、両親を交えた五者会談が設定されました。

 改めて上記の主には母の要望を受ける形で、①父には入浴ができて一日いられる送り迎え付きのデイサービスを週に2度利用する提案、②母にはやはり送り迎え付きでリハビリ系のサービスが半日受けられるデイサービスの提案、がありました。

 父は終始ニコニコと笑っていましたがおそらく今日のことはもう明日は覚えていないでしょう。

 母は頭がしっかりしているので終始ちゃんとした受け答えをこなして、それぞれ10月第一週からまずは施設を体験利用してみることにしました。

「これは体験という事で、イメージが合わないとか好みではないということであれば違う施設をご紹介します。もしここで良い、ということであれば、その後は施設とご本人様とが契約をしていただいて料金などを引き落とすという手続きに移ります」

 まずはとにかく施設でのサービスを受けなれてみることから始めてみます。


      ◆


 母が気にしていたのが、今後万が一母が入院などして家を守れなくなった時の父の世話の点でした。

 これは「お父様ならショートステイで29日間まで宿泊サービスが受けられます」ということでしたが、「今日明日に父を泊めたい、という希望にも対応できますか」と訊くと、「この町で家の近くで、となるとちょっとそれは難しくて、遠くの施設を探すことになりますね」とのこと。

 そろそろいろいろな「万が一」にも備えておくことが大事になってくることでしょう。

 新しいケアマネさんは、「ご両親様は何かお薬を飲まれていますか?」と質問をして両親の通院や投薬状況をつぶさにメモしていました。

「施設で何かあったときに普段の健康状態やお薬の情報が必要になるものですから」

 こういう高齢者を何人も抱えて介護サービス施設との橋渡しをするのは相当大変だろうな、と介護を担う皆さんの苦労の一端を現実に思い知りました。

 お二人は両親に話しかける時もゆっくりと大きな声で話をしてくれて、そういうところの気遣いも感じられました。

 次第に介護が現実になりかけている今、まずは動き始めてみることが大事です。

 両親の反応が楽しみです。

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介護サービス利用に向けた第一歩 ~ 両親が少し前向きに

2024-09-14 23:17:29 | 介護の世界

 

 早朝から実家の両親の家に行き、母の買い物サポートをしてきました。

 先日実家を訪ねてくれたケアマネさんは両親とのやり取りを詳細にメールで教えてくれていて、心のこもった対応に感謝です。

 ケアマネさんからは「お父様はちょっと短期記憶が弱くなっている感じでしたが、お母様はしっかりしておられました。お母様は『疲れることが多くなって料理が大変』とおっしゃっていました。介護保険で使える運動型のデイサービスをご紹介したところ前向きに考えていただけそうです。

 またお父様の入浴の手伝いが大変とのことでしたので、入浴のできる一日型のデイサービス利用について説明をいたしました。お父様も利用について前向きで『いいね』とおっしゃっていました。

 また万が一お母様が入院しなくてはならなき状況になった時にはどのような介護保険サービスが使えるか、などについてもご説明いたしました。

 今後ですが、当方のネットワークで居宅介護支援事業所のケアマネさんに打診し、引き受けていただける方向で考えていただいています。

 その方がご実家に行かれるときには私も同行し、息子様にもご同席いただけるようでしたら幸いです」と丁寧なやりとりのご報告をいただきました。

 父がデイサービス利用について前向きとは意外だったので、今日実家へ行った際に父に「デイサービスでお風呂に入るんだって?」と訊いてみると、「うーん、それ、なんだっけ?」と言うのでガックリ。

 やっぱり忘れていたのかと拍子抜けでした。

 母は「いいんだよ、その時には行かせるよ。説明で『カラオケなんかもあるんですよ』と言われたので良いと思ったんじゃない? そういうのに行かないでいたら一日中ボーっとテレビを見ているだけだから、なにか刺激になるといいけどね」としっかり行かせるつもりです。


 とにかくできるだけ施設を利用せずに、家に二人でいられる時間を長くすることが一番幸せな状況なので、これを長く続けたいところです。

 介護サービスを受けることでいろいろとまた気がつくことも多いでしょう。

 
 父も母も少しは介護サービス利用のためのお金がかかるかもしれませんが、普段の暮らしを少しでもサポートして快適にするための新しい一歩です。
 

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初めて父の髭を剃る ~ なぜか心が揺れました

2024-06-02 23:07:48 | 介護の世界

 今日も実家へ行き買い物サポートをしてきました。

 しかし母は疲れ気味で、「昨日は疲れてずっとソファで横になっていた」とあまり元気がありません。
 
 それに比べると父の方は元気です。

 ちょっと認知症の気があるのですが体の方は全く問題がありません。

 さて、じゃあ母を車に乗せて買い物に行こうと思ったところで母から思わぬ指令が出されました。

「そうだ、あんた、お父さんの髭を剃ってくれない?」

 なんと父の髭を剃ってくれというのです。

「なんで?自分じゃ剃れないの?」
「いやあ剃ってるんだけど、剃り残しが多くて気になってさ。あんたも普段から髭を剃っているでしょ、ちょっと剃ってやって」

 すると父も「そうか、剃ってくれるか、そりゃありがたい」と私が剃ることを全然気にしません。

「え~~~?」

 まさか自分の父の髭を剃ることになるとは思わず、ちょっと動揺しました。

 行きがかり上の流れでやらざるを得なくなり、父を洗面台の前の丸椅子に座らせて、顔を湿らせてシェービングフォームを塗り立てます。

 私も普段は二枚刃のカミソリで髭を剃っていますが、父から4枚刃の剃刀を渡されてこれで顔を当たることに。

 自分の顔なら怖いことはありませんが、人の顔を剃るのは何しろ初めて。介護の実習でも経験はありません。

 渋々やりながら、内心は(確かに介護の現場なら高齢者の髭を剃るというシーンがあるかもしれないな)と良い経験になるかもしれんと思い始めました。

 それにしてもやはり顔を切りはしないか、と身内とはいえ怖さがあります。

「父さん、普段はどれくらいで剃ってるの?」
「うーん?一週間に一度は剃っているよ」

「あ、そうかい」
「でももう外に出て人に会うこともないからな」

 しかし後から母に聞いたら「いや二日に一度は剃っているんだよ。でも全然剃り残しだらけなのさ」

 私も髭の伸び具合が一週間にしては短いな、と思っていましたが、二日に一度剃っていてももう父はそのこともあまりはっきりと認識していないのだと感じました。

 
      ◆



 床屋さんで髭を剃るときって、椅子の背もたれを後ろに倒して寝た形で剃りますね。

 それだと剃る方も剃られる方も楽なのでしょうが、椅子に座って直立の姿勢で髭を剃るというのは案外難しいと思いました。

 これも何度もやれば慣れるのでしょうか。

 
      ◆



 髭を剃り終わってから母に、「電動シェーバーで剃るのじゃ駄目なの?」と訊きました。

 すると母は「いや、電動シェーバーもあるのさ。でも本人は気に入らないんだね。それで髭を剃ろうという気にはならないみたいで、剃るときは剃刀を使うのが習い性になっているんだよ」

 安全もお金で解決できることに一つですが、それも本人に意思がなくては始まりません。

 自分も普段の剃刀での髭剃りをいつか電動に替える時が来るのだろうか、と思うと、その踏ん切りはどういうタイミングで発動するのかな。

 父の髭を剃ることになるとは思わず、ちょっと動揺した日曜日でした。




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もう、メモしなくちゃだめなんだよ

2024-04-27 23:23:42 | 介護の世界

 

 先日買い物サポートで実家へ行った時のこと。

 母がため息をつきながら、「いやいや、爺ちゃんにひどい目に会ったよ」と嘆いています。

「どうした、どうした?」

 母と父は週に一度、地区の会館で開催される麻雀の集いに参加しています。

 ところがその日はちょうど父が月に一度病院に行く日だったので、母は一人でマージャン会場に向かい、父には「病院から帰ってきたら、薬を置いてすぐにこっちの会場に来てよ。お昼の食事は用意してあるんだからね」と何度も念を押して伝えたとのこと。

 そうして当日は一人でマージャンを楽しんでいた母ですが、普段なら父は病院から11時には家に帰ってくるはずで、遅くても12時までには会館に来るだろうと思っていたのに、「それが、1時になっても1時半になっても全然来ないの。どうしたかな、と思ってマージャンを中断して家に帰ってみたら、素知らぬ顔でパンを食べているんだよ」

「あれだけ『ちゃんと来るんだよ!』と念を押したはずなのに、もう忘れちゃうんだからね、は~」

 私の方もぎゃくに呆れてしまって、「婆ちゃん、それが認知症ってことなんだよ。だから『ちゃんと伝えたんだから覚えているはず』という思いを捨てなくちゃダメじゃん。これからはやってほしいこと、伝えたいことを紙のメモにして絶対わかるところに貼っておくとか、マジック黒板を買ってきて書いておくとか、とにかく伝言を文字にしておくようにしようよ」

 それを聞いて母も、「そうだねえ、もうそうしなくちゃダメか」と少しは納得した様子でした。

 しかしそもそももうここ2年程前から、父の認知症が進み始めていることに気が付いている母のはずですが、それでもどこかにまだ「正常であってほしい」という期待と願望が消えないのでしょうか。

 
 買い物を終えてから実家に上がり、新聞を読んでいた父に、「なに、マージャン会場に行くのを忘れちゃったんだって?」と話しかけてみると、「ああ、そうなんだ、全然忘れちゃって腹が減ったからパンを食べていたら怒られてさ(笑)」とばつが悪そうながらも笑う父。

(あれ、それで怒られたことは覚えているんだな)と思いましたが、記憶も健忘もまだらに表れてくるのが初期の認知症ということです。 

 父は最近また真夜中に起きてしまうようになったとのことですが、それでもそこから外に出て徘徊をしたりするわけではないし、食事も風呂もトイレも全く問題なくできているのが最大の幸運です。

 認知症もどのような症状として現れるのかは自分の思い通りになどいかないわけですから、大いに助けられています。


       ◆

 
 母は、「爺ちゃんはいつも『俺はいつまで生きるのかなあ』と言うようになったんだよ」と言います。

 それを聞いた父は「だって、体のどこも悪くないんだぞ」と。

 返す刀で母は「だから、頭が悪くなっているんだって(笑)」と言い、父も「そこだな、問題は」「わかってるんだ」で3人して爆笑。

 こういう会話がいつまで続けられるのか。

 暖かくなった春の一コマです。  

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「お父さんはお日様が好きなんだよ」 ~ 陽の光を浴びると元気になる

2023-08-24 22:57:30 | 介護の世界

 

 父の話の続き。

 先日の通院のときのことですが、そろそろ迎えに来る時間だということで、母に促されて父は家の外でワゴン車が来るのを待っていました。

 ところがなかなか車は来ません。

 今年の北海道は例年になく暑くて、家の中から見守っている私と母は「お父さん暑くないのかね」とフウフウ言っていました。

 見ていると父は家の日陰からいつの間にか陽の当たるところへ出て、帽子も被らないまま陽の光を浴びています。

「父さん、日向に出ちゃったよ」

 そう言うと母は「そうなんだ、お父さんお日さまが好きなんだわ。今も夏だから暑いと言っているのに、朝起きたら東のカーテンを開けて『おお、お日様が昇ってきた』と嬉しそうなんだよ」

「そうなんだ、知らなかったよ」
「太陽が南側に来て居間に日が差すようになったら、わざわざそこに座るんだよ、この夏の暑い盛りでもね」

 でもまあそれが一つの救いかも知れません。


 医師で高齢者に対して日頃の暮らし方や人生への考え方などについて多くの本を著して人気の和田秀樹さんは、「『心の老い支度』のための実践行動として、幸せホルモンのセロトニンを分泌させるために、とにかく外に出て日の光を浴びなさい」と日光に当たることを勧めています。

 さすがにこの酷暑の夏の炎天下に外に出ろ、ということではないでしょうけれど、日の光を浴びること、お日様が好きということは決して悪いことではないようです。

 実際、父の場合も時間感覚が分からなくなることがまだらに生じてはいますが、食事、トイレ、入浴、服を脱ぎ着するなどの日常動作にはなんの支援も必要としていません。

 そして和田秀樹さんが警鐘を鳴らす「老人性うつにだけはなるな、それは高年者の病気の中で最も恐れるべき病気だ」というようなこととは縁遠く、声を荒げたり腹を立てたりすることもなく普段はニコニコしています。

 母も「それだけはありがたいよね」と言います。

 歳を取った人の話として「自分のお金を取っただろう!」とか「(本当はもう食べたのに)食事を出してくれない!」と怒り出す人がいると聞きます。

 心の奥底にネガティブで怒りの感情が潜んでいて、それを抑制していた脳の機能が弱くなると本性が出てくるのかもしれません。

 本性がネアカで感謝の気持ちに満ちている人は幸せだと思います。

 
 先日の病院の付き添いでは、診察が終わって病院の隣の薬局で薬ができるのを随分長い時間待たされました。

 薬を待っている間に、日の当たる席に父と私が二人で隣り合って座っていると、「随分長い時間付き合わせて悪かったなあ」、「息子がいるってのはありがたいもんだなあ」と繰り返しつぶやいていました。

 僕ももっと歳を取ったら日の光を浴びようと思います。

 ただしそのときはエアコンの利いた室内からだろうと思いますが。
 

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