北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

「変える」のか「変わる」のか

2007-07-23 23:54:23 | Weblog
 朝通勤の時にいつもはすれ違う子供達を見ないなあ、と思ったらもう夏休みに突入していたんですね。夏休みならカーッと暑い方が夏らしいのですが、まだぐずついた空模様が続きそうです。

 関東地方の例年の梅雨明けは7月20日頃なのだそうですが、今年はもう少し遅いよう。お天気はパソコンのプログラムではないのだからそれもまたよしです。

 いよいよ参議院選挙を週末に控えて、マスコミも選挙報道モード全開といったところです。

 今回の選挙は、直接安倍政権の責任とは言えないような年金問題に端を発し、相次ぐ閣僚の失態で頼りにならないという印象の与党自民党側と、「時は今!」とばかりに過半数奪取をねらう民主党ほかの野党との戦いです。

 事前の世論調査では圧倒的に「政権与党に分が悪い」という下馬評ですが、どうも野党連合もいまいち政権批判の受け皿になりきれているとも思えません。

 もちろん衆議院選挙ではないので政権選択というわけでもないのですが、まあ国民の程度なりの結果が出るということでしょうか。

 テレビを見ていると、安倍総理は街頭演説で「改革か!後退か!改革実行力」ということを盛んにアピールしています。一方の民主党の小澤党首は「国民の生活が第一」という路線で大衆に訴えかけています。

 どちらも「改革」ということを口にしてはいるものの、それが有権者の選択にどれだけ効いてくるのかには興味がわくところです。

    ※    ※    ※    ※

 「日本人は自ら変化できない国民だ」と言ったのは評論家の山本七平さんでした。

 「日本人の人生観」(講談社学術文庫)という本の中で山本さんは「日本人は自然ということを大切にする。そのときの自然というのは、『ごく自然にそうなる』というのをよしとする自然であって、意識的・作為的になにかをするということを否定する民族である」というようなことを述べておられます。

  

 「お二人はどうして結婚されたのですか」と問われると「ごく自然に…」と答えることが多いだろう、ということも書かれていて、意識的に「俺はおまえと結婚するのだ」「私もあなたと結婚するのよ」という強い意志がぶつかりあっての結婚というのはあまり日本人には見られないでしょう。

 意図した結果ではなく、いつの間にか最良の状態になっているということが幸せな民族なのです。

 それは、農業を生業として誕生し成長してきた国だからでもあって、四季の移り変わりは変えることができず、それだからこそ自然に付き従ってその変化に対応をすることで歴史を刻んできたからだ、とも言えるのです。

 山本七平さんは、「そのため日本人は変化に非常に強いという国民性を持っている」とも書かれています。
 
 明治維新でも敗戦でも、オイルショックでも、日本人は環境が変化すればそれにすぐさま対応ができ、これがまた実に見事なのです。

 しかし日本人にとってのこうした変化は常に『外圧』として訪れてくるわけで、環境が変わらない限り自分の方は変化しません。四季が変化する際に自分を変えるのではなく、服を替えて暑さ寒さをしのぐような対応に終始しようとします。
 絶対に自己の本質的なものは変えまいとしていて、それゆえ社会を固定化する方向に安心を覚えるのです。

 来る運命は受け止めるけれど、危機的になりそうな運命を意図的に回避するという能力に欠けているとも言えるでしょう。

    ※    ※    ※    ※

 そういう意味では「改革」を口にする安倍総理の進めるこれまでの政権が揺らぐようなことがあるとすると、それもまた自然に改革がなさるということなのかもしれません。

 そして、何か変化が訪れるとその変化した後の社会に臨機応変に対応をしてしまう、という歴史が繰り返されるのかも知れません。

 今の投票に向かう世論調査を見ていると、どこまで国民が自ら意図して変化させようとしているのかよく分かりませんが、自らの選択に責任だけは持ちたいものです。
コメント
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