北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

集合住宅歴史館~住まいの歴史を考える

2007-07-27 23:09:30 | Weblog
 外は夏のような暑さながら、まだ関東の梅雨は明けていないのだそうです。ふー、外にいると暑い暑い!


 今日の午後は八王子にあるわが都市機構の研究施設である「都市住宅技術研究所」を視察してきました。ここでは何年にもわたって住宅に関する様々なテーマの研究が行われていて、今ではあたりまえになったような技術もここで試されたのです。

 屋上緑化もその一つで、施設の中の「すまいと環境館」の屋上で実験が行われています。土の厚さを変えたり植物の種類を変えて、管理のしやすさや緑の成長などを検証しているのです。

  

 壁を使って壁面緑化の実験も行われています。壁面の前に植物があると、直射日光に照らされないために壁の温度が下がりヒートアイランド現象の抑制に効果があるだろう、というものです。
 しかし壁に針金でメッシュを固定して植物を伝わせようとすると、針金を伝って侵入者も入ってきそうだということが分かって、今では細いワイヤーをぶら下げてこれに植物をからませる実験を行っているとのこと。壁を伝うのは植物だけではないんですな。

  

 今では我々が作る新しい住宅はすべて屋上緑化がされることになっています。昔は考えられなかったようなニーズが現実のものになっているのです。

    ※    ※    ※    ※

 施設の一角に「集合住宅歴史館」という建物がありました。ここには文字通り集合住宅の歴史を彩るような時代の節目の集合住宅の一室がそのまま運ばれて展示されています。ほんの少し前の我々の住まいはなんとつましかったことか、と思わず笑ってしまいますし、同時に懐かしい郷愁を感じます。

  

 我が国の住まいの中で近代的な集合住宅と呼べるものは、関東大震災後に発足した財団法人同潤会によるもので、この歴史館にはその頃の室内が再現されています。
 専用の流しも小さいけれど、共同流しが当たり前だった頃には高級な住宅だったようです。

  

 次には昭和30年代の2DK住宅。いわゆる公団住宅と呼ばれた典型的な住まいです。テーブルがついていますが、当時は市場にこうしたテーブルが売っていなくて専用に作ったのだとか。
 流しもありますが、人造研ぎ石製でした。

  

 冷蔵庫や洗濯機も懐かしいものが飾られています。こういう生活にあこがれた時代は、あこがれがどんどん現実になっていった喜びに満ちた時代でもあったのです。

  

 高層住宅にはエレベーターがついたものの、3,6,9階にしか止まらず、その前後の階には階段で行くという時代もありました。少しずつの便利をスタンダードにしてきた住まいの歴史。

  

 こういう施設を見ると、住まいをさらに便利にしたい自分の欲望を「わがままかなあ」と自己反省することにつながるかも知れません。歴史を学ぶと言うよりは、「足るを知る」心を思い出すきっかけになりそうです。
 
 施設は事前申し込み制で一般にも公開されています。

 さて、緑や植物は住まいのどういう部分にどういう貢献ができるでしょうか。新しい住まいのニーズを緑がどう受け止めるかを考えてみたいと思います。

 歴史館のホームページはこちら → http://www.ur-net.go.jp/rd/history/
コメント
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