北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

一心 ~西野にまだあるこだわりの蕎麦屋

2008-05-08 23:43:30 | Weblog
 今日も休暇を取って連休続行中です。お昼は札幌市内のお蕎麦屋さんの食べ歩き。札幌市西区西野で長流本格手打ち蕎麦の看板を掲げる「一心」というお店に行ってきました。

  

 こちらのお薦めは特選辛み大根ということで、辛みセイロの大盛りをお願いしました。昨日の翠明庵のお蕎麦も緑色だと思いましたが、今日登場した蕎麦は昨日よりもさらに緑色が深く風味もたっぷりです。

 麺は私の好みよりは少し太めのようにも感じますが標準的な太さで、こしも充分。辛み大根は紫色の変わった色をしていますが「これぞ辛み大根!」という辛さです。

  

  

 またまたこだわりのあるお蕎麦屋さんに巡り会いましたよ。

  *    *    *    *    *

 お蕎麦を堪能してからは恒例のご主人との蕎麦談義の始まりです。「ずいぶん緑の蕎麦だと思いましたが、そば粉はどこからですか?」という問いには、「石狩沼田町の雪中蕎麦を使っています」
 しかも「丸抜きの中から特にうぐいす色の粒だけを選んで挽いてもらっているんです」とのこと。割り粉は外一(そば粉1kgに小麦粉を100gの割合)だそうですよ。

  

  

「長流というのは何ですか?」
「これは修行をした長庵で習った流儀ということです。江戸流の打ち方で、2kgくらいを1時間くらい掛けて打つんです」

「1時間も?普通はもっと早く打つのじゃありませんか?」
「そう教えられるところも多いと思うんですけど、うちの師匠は粉に7割くらい加水をして粉がピンポン玉くらいになるところでじっくり我慢して、そこからさらに少しずつ水を加えていくんです。そういう流儀なんですけど、これだと出来る蕎麦が違いますよ。でもそれをずっと続けているので小指が曲がってしまいました。職業病ですね」

 蕎麦はもたもたすることを「蕎麦が風邪を引く」という言い方で嫌っていて、普通は早く打てることが上手の証のはず。しかしこちらの流儀ではずっと力を込めながら加水の段階でくくってしまう前に充分に混ぜ続けるのだそう。言葉の通りに、第一関節が内側に曲がってしまったご主人の小指にすごさを感じました。

  *    *    *    *    *

「辛み大根が紫というのは面白いですね」
「留寿都に親戚が住んでいて、そこに無農薬で作ってもらっています。信頼できるのがいいですね。切り口が面白いんですよ」

 見せてくれた大根は、皮と一部が紫という変わった断面。品質へのこだわりも申し分なしです。

  

  *    *    *    *    *

 地元紙に紹介されたときの記事を見せてもらうと、このご主人、以前は建築関係の仕事をしていたところからの脱サラなのだそう。

「下請けの仕事だったので、図面をいくら描いてもそれを買ってくれなければお金にはならないんですね。それなら買ってもらえるものをつくるほうがいいかな、と思って思い切ってこちらの世界に入りました」

 同業者の端くれとして、その気持ちもよく分かります。こういう形での転職は大いに応援したくなりますね。

「ブログで紹介をしたいので店内を撮影しても良いですか?」
「ええ、どうぞ。これ実は私が設計したんですよ、へへ」

  

 こぢんまりながら、こだわりの固まりのお蕎麦。蕎麦談義でうまさ倍増です。

 昨日の翠明庵も西野でしたが、このあたりは蕎麦激戦区ですねえ。

 「一心」・・・札幌市西区西野6条8丁目4-23 です。



【エピソード】
「ところでお店の『一心』の由来はなんですか?」
「おやじの好きな言葉で『一心岩をも通す』というのから取りました。好きなことを続けようと思います」
 
 立派です。

  
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする