北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

トヨタ流人材育成術

2008-05-30 23:30:17 | Weblog
 午後の飛行機で札幌へ。週明けに札幌で「北三条広場委員会」があるために、この週末はついでに帰省なのです。

 一ヶ月ぶりの札幌は思いの外寒くてちょっと閉口。5月末で10℃前後とはね。天候も寒すぎたり暑すぎたりだし、世の中の出来事も事件もなにやら極端に走りがちのよう。いろいろな意味で世の中に「穏やかさ」が足りないようです。

 さて、長い移動の時間は格好の読書タイム。今回はPHP新書から「トヨタの社員は机で仕事をしない」(若松義人著)です。

  

 トヨタという会社のすごさは、「カイゼン」と呼ばれる、日々の活動をいかにより合理的なものに近づけるかという飽くなき努力を続ける企業マインドです。

 その活動の結果が『安く良い自動車を早くお客様の手元に届ける』という企業としての成果に繋がり、それが次の車づくりとしてお客様の支持を得ることに繋がる、と信じているのです。その過程で全従業員に対してトヨタマインドをいかに身につけてもらうか、という人材教育に長けた指導者を輩出しています。

 著者の若松さんはトヨタ自動車で傑出した指導者だった大野耐一氏の指導の下で「トヨタ生産方式」の実践、改良、普及に努めてこられた方で、本書はその実践活動の一端をまとめたものです。

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 トヨタのある企業経営者の口癖は「私は課題のない報告書は認めない」というものだそう。

 例えば部下がセミナーや勉強会に参加した後の報告書は「勉強になりました」とか「役に立ちました」ではダメ。「自社と比べて何が良かったか」「それは自社の課題を解決するためにどのように使えるのか」という二点が盛り込まれていなければダメだというのです。しかもなおかつ「それをいつからどのようにして実行に移すのか」までが入っていなければ報告とは認めない、というのですから徹底しています。

 勉強会に参加するということは、物見遊山ではなく、現場が抱えている課題を解決するためのヒントを得て、部下として成長するためなのです。だから上司の方も、単なる「ご苦労さん」ではなく、「どうだった?」「何が参考になった?」「職場に行かせることは何か?」と訊ね、なにかがあるならば「すぐに実行しろ」と背中を押すのです。

 トヨタではさらに、二、三ヶ月後に「ところであれはどうなった?」と必ずフォローを入れることを大切に考えるのだそう。

 「報告する」ということは、何を学び、どんな課題を見つけ、その解決のためにどうしようとしているのか、をきちんと整理することだ。トヨタではその当たり前のことを徹底することで人を育ててゆくのです。

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 こういう人材育成の本は本屋さんにもたくさん並んでいますが、それを呼んだときには感動しても、その感動はすぐに薄れがち。いかにその感動をときに思い出して自分を奮い立たせるか、は永遠の課題でしょうか。

 こういう良い本を読むと熱くなるものです。
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