釧路市内の優良な企業巡りをしています。
釧路とはどういう町であるのか、ということを企業活動をみるところから理解しようと努めているわけ。先日は大楽毛(おたのしけ)地区にある『よつ葉乳業』さんの釧根工場を訪ねました。
よつ葉乳業さんは、1966年に十勝管内農協組合長会議で工場建設を決議して、翌67年に北海道協同乳業株式会社として設立されました。
69年には馴染みの深い「よつ葉3.4牛乳」を発売開始、73年にはこの大楽毛地区の釧根工場が完成しそれまでの十勝工場に加えて、その後も北見工場(74年)、宗谷工場(84年)、東京工場(92年)と工場建設を行いました。そしてこの間、86年に社名を「よつ葉乳業株式会社」に変えて今日に至っています。
釧根工場では昨年度で年間13万3千トンの生乳を処理して、脱脂粉乳、生クリーム、全脂濃縮乳などを作っています。バターも作っていたのですが、9月に他の工場にバター生産を集約したためにこちらでは作らなくなってしまったというのは残念です。
もちろん飲料用の牛乳も作っています。酪農家が牛から搾乳した乳は、生乳(せいにゅう)と呼ばれます。牛乳というのは、実は生乳を飲用として『加工』した物のこと。
【次から次に生乳が運ばれてきます』
もっとも、『加工』と言ってもなにか成分を加えたり取り除いたりするわけではありません。ここでいう加工とは殺菌方法のこと。
生乳は生の状態で飲むことが理想なのですが、搾乳後に空気中のいろいろな菌が牛乳の中に入ってしまうことから殺菌が必要となるのです。
殺菌の方法は、超高温殺菌(UHT)、高温短時間殺菌(HTST)、低温長時間殺菌(LTLT)など、殺菌の温度とその長さによって区別されています。
ちなみにUSTとは”Ultra High Temperture Short Time”の略で、120℃で2秒殺菌、HTSTとは”High Temperture Short Time”の略で72℃で15秒、なんだそうです。
さらに言えば、LL(Longlife)牛乳では140℃で殺菌をして60日間の賞味期限を実現していますが、生乳はやはり高温をあてることで品質が微妙に変化してしまい、生乳そのままの美味しさを味わうにはできるだけ低温での殺菌のものを飲むのが良いようです。
※ ※ ※ ※ ※
こちらでは首都圏へ運んでゆく生乳の冷蔵も引き受ける工場もあります。
毎日10トンのタンク車で運び入れられる生乳は温度が大体10℃くらいあるそう。しかしこの温度で長時間運んだのでは生乳の中の菌が繁殖して増えてしまいます。
そこでこちらの工場で1℃まで低温にして、それをタンク車で運びだし釧路港の西港からホクレン丸で茨城県の日立港まで運びます。これなら20時間かけて現地に到着するころでも2℃くらいにしか温度が上がっていないのだそうで、これなら繁殖を十分に抑えられるのだそう。
【こちらが生乳の温度を下げる設備です】
「牛乳というのはとにかく温度管理の飲料です。低温で菌の繁殖を抑えるか、高温を当てて殺菌するか。高温か低温かのどちらかですね」とは工場長さんの説明。
北海道では約370万トンほどの生乳が作られますが、これは全国の生乳生産の約半分を占めています。しかも全道生産のうちの85%は稚内から網走、十勝、釧路、根室の道東で生産されています。なんと一大酪農地帯であることか!
そして内地へ運ばれているのはこの370万トンのうちの1割ほどだそうで、それは買ってくれる乳価が高いからだとも。
工場長さんの心配事はやはり少子化。給食で牛乳を飲んでくれる子供たちが減るというのは貴重な消費層が少なくなることを意味していて残念な限りです。
次にスーパーで牛乳を買うときは、低温殺菌の美味しいものを選んで買ってみたいものですし、チーズもいろいろと選んでみることにしましょう。
たかが牛乳もなかなか奥が深いのです。
【よつ葉乳業さん】
http://www.yotsuba.co.jp/index.html
釧路とはどういう町であるのか、ということを企業活動をみるところから理解しようと努めているわけ。先日は大楽毛(おたのしけ)地区にある『よつ葉乳業』さんの釧根工場を訪ねました。
よつ葉乳業さんは、1966年に十勝管内農協組合長会議で工場建設を決議して、翌67年に北海道協同乳業株式会社として設立されました。
69年には馴染みの深い「よつ葉3.4牛乳」を発売開始、73年にはこの大楽毛地区の釧根工場が完成しそれまでの十勝工場に加えて、その後も北見工場(74年)、宗谷工場(84年)、東京工場(92年)と工場建設を行いました。そしてこの間、86年に社名を「よつ葉乳業株式会社」に変えて今日に至っています。
釧根工場では昨年度で年間13万3千トンの生乳を処理して、脱脂粉乳、生クリーム、全脂濃縮乳などを作っています。バターも作っていたのですが、9月に他の工場にバター生産を集約したためにこちらでは作らなくなってしまったというのは残念です。
もちろん飲料用の牛乳も作っています。酪農家が牛から搾乳した乳は、生乳(せいにゅう)と呼ばれます。牛乳というのは、実は生乳を飲用として『加工』した物のこと。
【次から次に生乳が運ばれてきます』
もっとも、『加工』と言ってもなにか成分を加えたり取り除いたりするわけではありません。ここでいう加工とは殺菌方法のこと。
生乳は生の状態で飲むことが理想なのですが、搾乳後に空気中のいろいろな菌が牛乳の中に入ってしまうことから殺菌が必要となるのです。
殺菌の方法は、超高温殺菌(UHT)、高温短時間殺菌(HTST)、低温長時間殺菌(LTLT)など、殺菌の温度とその長さによって区別されています。
ちなみにUSTとは”Ultra High Temperture Short Time”の略で、120℃で2秒殺菌、HTSTとは”High Temperture Short Time”の略で72℃で15秒、なんだそうです。
さらに言えば、LL(Longlife)牛乳では140℃で殺菌をして60日間の賞味期限を実現していますが、生乳はやはり高温をあてることで品質が微妙に変化してしまい、生乳そのままの美味しさを味わうにはできるだけ低温での殺菌のものを飲むのが良いようです。
※ ※ ※ ※ ※
こちらでは首都圏へ運んでゆく生乳の冷蔵も引き受ける工場もあります。
毎日10トンのタンク車で運び入れられる生乳は温度が大体10℃くらいあるそう。しかしこの温度で長時間運んだのでは生乳の中の菌が繁殖して増えてしまいます。
そこでこちらの工場で1℃まで低温にして、それをタンク車で運びだし釧路港の西港からホクレン丸で茨城県の日立港まで運びます。これなら20時間かけて現地に到着するころでも2℃くらいにしか温度が上がっていないのだそうで、これなら繁殖を十分に抑えられるのだそう。
【こちらが生乳の温度を下げる設備です】
「牛乳というのはとにかく温度管理の飲料です。低温で菌の繁殖を抑えるか、高温を当てて殺菌するか。高温か低温かのどちらかですね」とは工場長さんの説明。
北海道では約370万トンほどの生乳が作られますが、これは全国の生乳生産の約半分を占めています。しかも全道生産のうちの85%は稚内から網走、十勝、釧路、根室の道東で生産されています。なんと一大酪農地帯であることか!
そして内地へ運ばれているのはこの370万トンのうちの1割ほどだそうで、それは買ってくれる乳価が高いからだとも。
工場長さんの心配事はやはり少子化。給食で牛乳を飲んでくれる子供たちが減るというのは貴重な消費層が少なくなることを意味していて残念な限りです。
次にスーパーで牛乳を買うときは、低温殺菌の美味しいものを選んで買ってみたいものですし、チーズもいろいろと選んでみることにしましょう。
たかが牛乳もなかなか奥が深いのです。
【よつ葉乳業さん】
http://www.yotsuba.co.jp/index.html