今日は仕事の関係で、自民党道連主催で開催された「北海道胆振東部地震災害対策本部」会議に出席してきました。
災害対策は基本的に地方自治体の事務です。
会議ではまず、全道の被害状況を北海道庁が、続いて大きな住宅被害が発災した札幌市、次に多くのインフラ管理を抱える北海道開発局から、地震による被害状況と復旧状況が報告されました。
道庁による全道の被害状況は、9月16日現在で公共土木施設、苫小牧港、JR、水道施設など多岐にわたっています。
特に副次的な災害として大停電が続いたことで、産業への被害が大きくなりました。
一番大きな被害は観光面で、観光施設の建物や設備が損傷したほか、全道の宿泊施設で約94万人のキャンセルが発生し、観光消費影響額として約292億円を見積もっています。
次は林業被害で、林地の大規模崩壊により約225億円の被害を見込んでいるほか林道被害も48憶円になりそうです。
水産業や商工業では、水産物の冷凍品の溶解や生鮮食品等の原材料の廃棄などがありました。
その一方で、発災直後に発生した道路の通行止めや交通機関の運休、停電、断水などはおおむね解消しています。ネガティブな風評被害は早期に解消したいところでしょう。
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ところが意外なところでの被害があったのが札幌市で、全道の建物全壊が139件のうち厚真町が44件なのに対して札幌市ではそれを上回る49件が発生。
一部損壊に至っては、全道で1,773件のうち札幌市が1,470件を占めています。札幌市の住宅造成地の地盤損傷被害は実に広範で甚大です。
被害の説明の後には、道商連、観光振興機構、JAそれぞれの代表から各種の要望が出され、政治的に解決を図ってほしい項目が説明されました。
たとえば停電による酪農への被害として、搾乳ができなかったことで乳房炎になる牛が多くなっています。それを治療するためには薬剤を投与しなくてはなりませんが、その費用がかかるうえに体内に薬剤が留まっているうちはその乳は売り物になりません。こうした被害が全道でまん延しているのです。
また、災害復旧には補助や交付金を出すために、復旧を一定の期限内に終えなくてはなりませんが、今回のような林業被害ではその期限内に終わるとは到底思われず、何らかの救済策が求められます。
こうした現場の声を多く聞き取って、政治・行政として対処する必要があるのです。
政治家の皆さんも、精力的に被災現場を訪れて、被災された人たちの要望を聞き取って、それを官僚に対して伝えるという仕事をこなしています。
こうした自然災害が起こった後に、政治家や高級官僚が被災現場を訪ねて被災民にお見舞いを述べたり、要望を直接聞き取ったりするシーンはときどきテレビやマスコミにも報道されることがあります。
なかにはこうした活動に対して「売名行為だ」とか「忙しいときに周りが気を遣わなくてはならず迷惑だ」といった批判的な意見を聞くことがありますが、私は「やはりそうした発言力と影響力のある人たちには積極的に現場を見てほしい」と思います。
後々、新しい救済制度(法律など)を作ったり、災害復旧予算を確保したりするときには、やはり実際に見てきた人の発言こそが重いのです。
多くの災害査定をする人たちは、直接現場を見ていない中で事務や作業をするわけですが、そんななかで実際にその悲惨な現状を見て、自分の中にある種の現場感覚を備えている人がする「私は現場を見ているんだ!被災民の声を聞いているんだ!」という発言は大きな影響力を発揮するに違いありません。
政治家は給料も高い人たちですが、だからこそ国民として良い意味で、しっかりと利用してより良い未来へとつなげてほしいものです。
今日はある官庁がある復旧のための作業について、政治家から、「先週『やります』と言っていたのにまだやっていないのか!それは怠慢だよ!」と強い調子でたしなめられていました。
決してさぼっているわけではないでしょうが、まだ素早い対処が求められるステージですからね。
ネガティブ情報ばかりで、経済が縮んでしまっても困りますが、一方でまだ被災から立ち直っていない人たちも多く、これからも道民が協力して助け合うことが必要です。
頑張れる人こそ、その道で大いに頑張りましょう。