仲間の建設業者さんと話をしていると、この度その会社の社長が代わったのだと言います。
それも、今までとは異なる流れでオーナーの意向で思いもよらぬ部所からの抜擢された人事なのだと。
そのため、社長と言いながら実は会社の事業そのものにもあまり詳しくなく、会社のある土地にも土地勘がなく、ちょっと異例の人事異動なのだそうです。
「だからと言って悪い方じゃないんでしょう?」
そう訊くと、「ええ、根が悪い方じゃないと思います。ただ…」
「ただ…、ってなんですか」
「なんだか地域とか周囲への関心がまだ薄いように感じられて残念です」
「具体的にはどういうことですか」
「地域内を見てもらおうと視察をしてもらったんですが、そのときに営業所が近くにあったのに寄ってもらえなかった、ということがありました。本当は自分の部下の部所なので見て欲しかったです」
「まずは見ることができるものは全部見るとか、会える人にはとにかく会う、というマインドがないのでしょうか」
「実はこういう現場のトップのような立場にはついたことがないんだと思います。だからどういう振る舞いをするかとか、どういう行動が良いのか、という基準がわからないのではないかと思うのです」
「それこそ、それは部下の方が『これこれこうすべきです』とか、視察でもしっかりと視察先に現場の部所を入れればよいだけなのに、そうしなかったことが原因のように思いますが」
「はい、おっしゃるとおりに周りがしっかりとトップを支えるようなアドバイスや意思疎通を図るべきだと思いますが、実際にはそうなっていないのです」
何事も初めての場所や初めての仕事というのは戸惑うものですが、だからといって引き籠っていて良いことはありません。
多少面倒くさかったり、勇気が要るのかもしれませんが、新しい出会いを恐れてはなりません。
少しでも早く地の利、人の和を得るように精力的に走り回ることが必要なステージなのになあ、と他人事ながら思います。
◆
生涯学習を榛村さんから学んで身に染みたのが、「とにかく現場を見なさい」ということでした。
頭の中で正解や理想を決めてしまわずに、まずは現実がどうなっているのかをみて、それを答えだと思い、そこから発想しないといけないのだ、と。
それは決して他人事ではありません。
今は僕も新しい職場に移ったばかりなので、まずは自分たちに関係のある施設や場所を訪ねて見てみることが大切だ、と決意を新たにしました。
さて、明日からは一泊で函館方面への挨拶回りです。
自分の会社の工場なども見せてもらえる予定なので、大いに目を肥やすことにします。