北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

勉強と行動が求められる生涯学習 ~ 未来を支える「社会保障という制度」について

2023-01-25 23:16:05 | 社会保障を考える

 

 今を遡ること12~3年前の事。
 
 単身赴任をしていた東京でふと日曜日の朝にテレビをつけたところ、社会保障や年金問題をテーマにした討論をしていました。

 画面には時の民主党幹事長と見たことのない大学の先生が対談をしていて、その先生が岡田幹事長に対して「勉強不足!」「ちゃんと論文を読みなさい」「そんなの支離滅裂です」と厳しい言葉で面罵する場面が写されていました。

(この先生…誰?)

 ちょうどその頃私自身が、公共事業予算が伸びないのは厳しい財政状況の中で社会保障にお金が先取りされるためだ」と思うようになっていました。

 それがいつしか「社会保障こそ予算獲得上の敵だ」と思うようになり、「敵を知らなくては戦いにならない」「敵の強みと弱みはなんだろう」と真剣に勉強をする気になったのでした。

 そんなときにこのテレビ番組をみたので、この先生は誰だろうと興味を持ったのです。

 その先生が、慶応大学商学部教授の権丈善一先生でした。


      ◆


 その権丈先生は、社会保障のあり方について一貫して発言をされていたり、また福沢諭吉の「勿凝学問(がくもんにこるなかれ)」にあやかったブログで軽妙な情報発信をされるなど茶目っ気とユーモアもある方でした。

 そこで「まずは入門書として権丈先生の本でも読んでみるか」という気になり、著書を何冊か読みました。

 すると権丈先生の論調は社会保障に関する政府の方針を批判するマスコミに対して、「敢えて社会保障に不安を生じさせて世間に誤解と分断をまん延させている」という逆批判と、正しいものの見方を示してくださるものでした。

 そしていかに世の中には年金・医療・介護などの社会保障に関する不勉強なマスコミと、しばしば批判的なポジショントークにあふれているかに気がつくようになりました。

 そもそもバックグラウンドとなる資料やデータはネットを検索して、政府の社会保障審議会のホームページを見れば手に入ります。

 そしてそこでは多くの委員たちが真剣な議論を重ねて、社会保障の今後あるべき姿はなんであるかが議論されています。

 しばしば政府から社会保障の改革案が出てくると「説明もなしに突然言い出した」という批判が出ますが、大抵はそれらは数年前の審議会から議論が重ねられている現実的な提案であることがほとんどであることに気がつきます。

 いつしか敵だと思っていた社会保障が、人間がいかに将来へのリスクと不安に対して助け合いの精神で費用を持ち寄って助け合おうという高邁な精神を持った制度であるか、またそれがいかに時の政治や使用者である企業、税金を納めたくない国民の圧力と横やりで理想から少しずつ何かを削られては、それを次の制度改正の時に正そうと努力を重ねてきて今日に至っているか、を知ることになるのでした。


      ◆ 


 権丈先生は「社会保障はつまるところ財源調達問題なんです」と看破し、助け合う精神のもとで、今は負担できる余裕のある人が能力に応じて負担をして、必要になったらその度合いに応じて給付を受けるのが制度の根幹だと言います。

 そのためにもどのように財源を調達する、つまりは今はリスクを負っていない年齢・階層の人たちが自分たち自身が困った時のために負担をすることに理解と覚悟を持つことができるかどうか。

 今まさに議論が始まった「次元の異なる少子化対策」と言われるものも、少子化が進行すると将来の自分が困るリスクであり、それを回避するためにどれくらい自分たちは負担ができるか、する覚悟があるかが問われているのだと思います。

 今は健康で収入があっても、それが失われるかもしれないというリスクを給付と言う形で回避させてくれる社会保障という制度。

 未来に向かってこれを育てるのも殺すのも、今を生きる私たち自身が勉強をし判断をする責任を負うていることに間違いありません。

 今後も徒然に触れて行こうと思います。


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