稚内市内で知人に挨拶をして、ゆっくりと南下し今日は旭川泊りです。
道路は圧雪状態のところも多く、慎重な速度管理とハンドルさばきが求められました。
冬道の運転は慎重になりすぎることはありませんね。
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ゆく先々で「人手不足の将来はどうなりますか?」と訊いて歩いているのですが、答えなどあるはずもありません。
ある建設会社では、「あと10年はなんとかもちますが、その先は見えません。そして会社のメンバーの顔触れはずっと変わりません(笑)」と自嘲気味の答えが返ってきました。
別な建設会社では、「特に現場の社員の負担を減らしてやろうと、建設ディレクターを導入して、しかも若い女性にそれを担ってもらっています」という前向きな対応も聞かれました。
建設ディレクターというのは、ITとコミュニケーションスキルで建設現場を支援する新しい職域のことで、今建設会社では積極的に導入しているところが増えています。
やることは主に、工事施工に関する書類作成やICT業務で、現場とオフィス、経営をつなぐ役割が期待されます。
現場に出て現場の監督と一体になって書類作成をするというやり方もあれば、本社などのバックオフィスで書類を専門に作るというやり方もあります。
建設工事の仕事の中でも、書類づくりは一定の業務量がある反面、必ずしも現場にいる人がやらなくてもよい仕事を切り出して、支援要員がサポートすることで現場の職員は現場に集中することができて残業時間も減らすことが期待できます。
しかも若手や女性従業員などでもそれらのスキルを身に着ければが最新のスキルを身につけながら、やりがいを持って建設会社で働けるようになります。
こういう形で仕事をより効率的にこなすことはこれからのトレンドになってゆくことでしょう。
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一方で、仕事が偏ることの弊害を指摘する方もいました。
その方は「国は現場の技術者へ求める要件が厳しすぎる」と指摘しています。
「うちの会社では、国の仕事で道路事業、港湾事業、農地整備事業の三種類をやらせていただいています。
今年からの残業規制や職員の負担軽減もあって、できるだけ週末の土日は休むように工事の調整をさせているのですが、道路事業は道路の規制くらいが課題なので土日を休むことが比較的容易です。
しかし農地整備では、農家さんが働くことが天候に左右されてそれが工事にも影響します。なんとか日曜日だけは休むようにしていますが、土曜日は出ることもあるのが実態です。
また港湾の港整備事業も波があるときは工事ができませんが、凪いでいるときは工事を進めたい意向が働いてやはり出ることがあるんです」
「なるほど、工事の種類によって働き方も微妙に違うんですね」
「それで、国の工事の入札の際には、技術者を登録してその者個人に『過去に同種の工事の経験があるかどうか』を問われて、その経験が点数として反映されて工事の受注に影響します。
なので、道路事業の経験がある技術者はどうしても次も道路の工事をやってもらうことになり、同様に農業工事ばかりやる技術者、港湾工事ばかりやる技術者という風に、得意なというよりも経験のある工事に張り付いてもらうようになってしまいます」
「なるほど、でもそれはなにか問題があるのですか?」
「はい、技術者が家庭の中の父親としてみたときに、道路担当の技術者は割と確実に土日が休めるので家族サービスがしやすいのです。
逆に農業工事や港湾工事では土曜日の予定が立たなくて、家族との触れ合いがやりにくい、という声が上がりました」
「あ、あー、そういうことですか」
「できれば今年は農業でも来年は道路工事を担当してもらって、来年は確実に土日が休める、というようなローテーションをしてあげたいのですが、先ほど言ったように技術者個人の経験が問われているものですから、そこで経験のない者をつけることは入札上不利になってしまいます。
なのでなかなかその担当の工事を変えることができないんです」
「それはどうしようもないのですか?」
「道庁さんの工事では、過去の工事経験について技術者個人の経験は問わず、会社として経験があるかどうかだけを問われます。なので、工事が取れてからだれを担当にするかを考えて振り分けることが可能です。
しかし国はその要件が厳しいんですよね、はあ」
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今日、社員がちゃんと休みをとれるかどうかは建設産業で働いてもらえるかどうかに関して非常に重要な項目になっています。
休めない職場には若者は来ないのです。
かたや工事の出来具合を気にする発注者側と、それに応えようとし続けると将来それをやってくれる働き手はいなくなるという矛盾が見え始めているのかもしれません。
働き方改革の視点で目からうろこの現場感覚でした。
常に時代の変化を踏まえた改善が求めらますね。
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