さて昨日は自分で「孤独」を実践して、ブログもFacebookも投稿せず、本を読んでました。北山修+橋本雅之『日本人の〈原罪〉』(講談社現代新書)が重要なことを言ってるのに難しくて、何日もかかってしまいました。それを思うと山本博文『信長の血統』(文春新書)はどんどん読み進めて、やはり歴史の本は読みやすいなあと思ったですね。
というように僕は新書本をよく読んでます。読書の話は①新書②エンタメ本③古典という3段階で進めます。まずは新書から。ここでいう「新書」は、新書だけでなく、入手しやすい入門書的な本という意味で、文庫にも新書的なものはたくさんあります。単行本にも。でも大体新書、文庫は1000円しないので、若いときでも本屋で買いやすい。そういう意味でまず、新書。(新書というのは、縦長の形で、主に学者や評論家が書き下ろした、政治や経済、歴史、心理学、社会学…なんかのテーマで判りやすく書いた本ですね。理科的なテーマもあるけど、ハウツー的な本(ゴルフ上達法とかカレーの隠し味など)は少なく、もっと一般的なテーマで書かれたものが多いのが特徴です。)
勘違いしないでほしいのですが、履歴書に趣味を書くときに「読書」と書く、そういう意味での読書の勧めではありません。趣味だったら、音楽鑑賞でもテニスでも手芸でもガーデニングでも、何でも好きなことをすればいいわけです。読書はいいことだとされているので、表立って否定する人はいません。人は少しは本を読むから履歴書にも書きやすい。娯楽で読んだ本もいいし、深く感動した小説でもいい。「読書が趣味」という人はだから多いわけです。別にそれでいいけど、深く感動するという意味では、音楽や美術、あるいは実人生で成し遂げた成功(部活で優勝するとか、文化祭の出し物が大成功するとか、思い切って告白したらOKしてもらえたとか…)の方が大きいでしょう。本だけ読んでるなら、それも良くない。でも、僕が言いたいのは、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロをいくら見てても、本物を外国まで見に行っても、感動はするだろうけど、「ルネサンスとは人類文明にとって何だったか」は判らないということです。人類の文化は長く複雑になってるから、本を読まないとその意味がよく判らないのです。
「人間は知識だけではない」という人がいますけど、それは確かでお酒を楽しく飲めてカラオケが上手な方がいい、ということはあります。でも、それは「知識はある」ことが前提です。「今の若者」への仕事での年長者の不満は、「こんなことも知らないのか」であることが多く、コミュニケーション能力以前に知識がないから使えない、ということが実はたくさんあります。若いときに、クイズではない、もっと深い知識を幅広く見に付けるには…。一番いいのは新書本をたくさん読むことでしょう。自分の話をすれば、高校の宿題では「新書を読む」ということがよく出ました。生物の宿題で「血液型の話」(古畑種基)を読み、血液型はABO型だけではなく、複雑で実に面白い世界だと知ることが出来ました。もっとも後に冤罪問題にかかわると、古畑氏の本には問題が多かったことを知りましたが。(再審無罪になった「弘前大教授夫人殺人事件」が「血液型で解決した事件」として取り上げられていて、この本は再審後に絶版となりました。)
仕事を一生懸命にやろうとしている人にとって、「読書は義務」です。仕事は辞めて家事・育児に専念している「主婦」だといっても、ネットでレシピを探したり、育児の悩みを相談するのもいいけど、本屋に行けばもっと簡単で判りやすい本はいっぱい出てます。(小林カツ代さんの「超簡単」で美味しい野菜料理の本を買いましょう。)大学で勉強したり、資格を取って仕事に就く。でも「現場」は思ってたのとは違います。どんな仕事でも必ずそうでしょう。先輩に聞く、先輩の技を盗むというのも大事だけど、それよりも「本を探してみる」というのが即効性があります。大体普通の人が悩む程度の疑問は、誰かがもう経験して本に書いています。誰も書いてないオリジナルな疑問を感じていたら、もうそれだけですごい。けど、そういうことはよほど細かい話でない限り、ないと思います。そしてそういう疑問を解決するということは、何も学問的に深い解決が欲しいわけではなく、ちょっとした知識、ちょっとしたヒントが得られればいいのです。それでずいぶん安心できます。
だから、僕はマジメに仕事をしようと思う人は、どんな人でも「本探し」を心がけていないといけないと思います。「本探し」というのは、新書、文庫を含めて本はいっぱい出てて、読みたいときに手に入らない、ネットで探してもどれだか判らない、図書館行ってもピンとこないということが多いのです。でも、なんだかいつか本屋で見たような…。だから、何となく気になる本が本屋にあったら、高い本は買えないけど、文庫、新書なら買えないこともないから買っておく方がいいです。自分の場合は、歴史が専門ですが学校に勤め始めたころは地理を担当することが多く、世界の各地域を学ぶために新書本をたくさん読みました。この場合、深く知ることが目的ではなく、世界各地のエピソードを授業で使いたいというような目的なので、新書などが最適だったわけです。
さて、新書を実際に選んでみると…。大型書店に行くとあまりにもたくさんの新書が並んでいてどれも興味深いから、逆にまあどれも読まなくていいかという感じです。元々は戦前に岩波新書が創刊され、戦後になって中公新書、講談社現代新書が創刊されました。だからこの3社の新書には、長いこと読み継がれてきた名著がたくさんあります。そういう新書では、各学問の大学者が判りやすく書いた本、若手の研究者が最初に一般向けに力を入れて書いた本などが主流となります。だから今ではちょっと難しいと思う本も多いかもしれません。後発の新書ではもっと判りやすく書かれた新書もたくさんあります。でも、そうなると少し薄手で、中身も確かなのかなと思うような新書もある気がします。でも、どんなことでも「身銭を切って学ぶ」ことが大事なのだと思います。飲食代を考えれば、新書本など安いものです。買っても読んだらすぐにブック・オフ行きになる新書も多いと思いますが、まあそうやって自分に役立つ本の選び方を学んで行くのがいいでしょう。
例を挙げてみれば、9月の岩波新書新刊は、「勝てないアメリカ」「百年前の日本語」「構造災」「川と国土の危機」です。一方幻冬舎新書の近刊には「病的に自分が好きな人」「仕事ができる人はなぜワインにはまるのか」「介護ヘルパーは見た」「オタクの息子に悩んでいます」「AKB48白熱論争」「発達障害と呼ばないで」「ゆるす力」「ルポ ゴミ屋敷に棲む人々」「職業としてのAV女優」「コミュニケーションは、要らない」…などの本が並んでいます。大分違いますね。専門性を必要としないなら、幻冬舎新書の方に興味深い本が多いという人の方が多いでしょう。その他、本当にいろいろな新書が出ているので、見ているだけで楽しくなります。つまり、岩波を見ればアメリカや災害を深く知るべきだということがわかります。幻冬舎を見れば、心理学的な本が多いように思い、それが今を考えるヒントになるでしょう。多くの人の悩みや関心のありかを知ることができます。しかし、本当に「仕事ができる人はワインにはまる」んでしょうかね。こういう「断言型ネーミング」も本を目立たせる工夫ですね。こういう本を読んでると「話題が豊富」になれますが、逆に「いい加減な話を大げさに言っている」という風に思われるかもしれませんが。
そして新書で有名になった著者がその後どんどん活躍していくことも多いので、長い目で読んで行くということが大切です。ちょっと難しい新書でも、挑戦してみることが大事。そして大事なことは、自分の専門そのものではない分野の新書も読むこと。せっかく判りやすい本が出ているんだから、読まないのは損です。
最後に、具体的なアドバイス
①一月一度は大きな書店に行って、新書のコーナーを見る。(買わなくても、どんなテーマの本が並んでいるかを見ると、世の中の傾向を感じることができます。)
②新聞の書評欄、本の広告を見て、文庫、新書をチェックする。
③新書は2冊(以上)買う。1冊は自分が読みたい、あるいは仕事に役立ちそう、あるいは自分の専門に関係していて読んでおいた方がいい本。でもそれだけではなく、その時に、自分の専門外で、すぐ仕事に役立ったりはしないだろうけど、なんだか面白そうな本をもう1冊買う。文系の人なら理系の本、あるいは「AKB48白熱論争」を買う時に、政治や経済の本も買う。そうして自分の知的な引き出しを増やしていく。それが大事だと思います。
というように僕は新書本をよく読んでます。読書の話は①新書②エンタメ本③古典という3段階で進めます。まずは新書から。ここでいう「新書」は、新書だけでなく、入手しやすい入門書的な本という意味で、文庫にも新書的なものはたくさんあります。単行本にも。でも大体新書、文庫は1000円しないので、若いときでも本屋で買いやすい。そういう意味でまず、新書。(新書というのは、縦長の形で、主に学者や評論家が書き下ろした、政治や経済、歴史、心理学、社会学…なんかのテーマで判りやすく書いた本ですね。理科的なテーマもあるけど、ハウツー的な本(ゴルフ上達法とかカレーの隠し味など)は少なく、もっと一般的なテーマで書かれたものが多いのが特徴です。)
勘違いしないでほしいのですが、履歴書に趣味を書くときに「読書」と書く、そういう意味での読書の勧めではありません。趣味だったら、音楽鑑賞でもテニスでも手芸でもガーデニングでも、何でも好きなことをすればいいわけです。読書はいいことだとされているので、表立って否定する人はいません。人は少しは本を読むから履歴書にも書きやすい。娯楽で読んだ本もいいし、深く感動した小説でもいい。「読書が趣味」という人はだから多いわけです。別にそれでいいけど、深く感動するという意味では、音楽や美術、あるいは実人生で成し遂げた成功(部活で優勝するとか、文化祭の出し物が大成功するとか、思い切って告白したらOKしてもらえたとか…)の方が大きいでしょう。本だけ読んでるなら、それも良くない。でも、僕が言いたいのは、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロをいくら見てても、本物を外国まで見に行っても、感動はするだろうけど、「ルネサンスとは人類文明にとって何だったか」は判らないということです。人類の文化は長く複雑になってるから、本を読まないとその意味がよく判らないのです。
「人間は知識だけではない」という人がいますけど、それは確かでお酒を楽しく飲めてカラオケが上手な方がいい、ということはあります。でも、それは「知識はある」ことが前提です。「今の若者」への仕事での年長者の不満は、「こんなことも知らないのか」であることが多く、コミュニケーション能力以前に知識がないから使えない、ということが実はたくさんあります。若いときに、クイズではない、もっと深い知識を幅広く見に付けるには…。一番いいのは新書本をたくさん読むことでしょう。自分の話をすれば、高校の宿題では「新書を読む」ということがよく出ました。生物の宿題で「血液型の話」(古畑種基)を読み、血液型はABO型だけではなく、複雑で実に面白い世界だと知ることが出来ました。もっとも後に冤罪問題にかかわると、古畑氏の本には問題が多かったことを知りましたが。(再審無罪になった「弘前大教授夫人殺人事件」が「血液型で解決した事件」として取り上げられていて、この本は再審後に絶版となりました。)
仕事を一生懸命にやろうとしている人にとって、「読書は義務」です。仕事は辞めて家事・育児に専念している「主婦」だといっても、ネットでレシピを探したり、育児の悩みを相談するのもいいけど、本屋に行けばもっと簡単で判りやすい本はいっぱい出てます。(小林カツ代さんの「超簡単」で美味しい野菜料理の本を買いましょう。)大学で勉強したり、資格を取って仕事に就く。でも「現場」は思ってたのとは違います。どんな仕事でも必ずそうでしょう。先輩に聞く、先輩の技を盗むというのも大事だけど、それよりも「本を探してみる」というのが即効性があります。大体普通の人が悩む程度の疑問は、誰かがもう経験して本に書いています。誰も書いてないオリジナルな疑問を感じていたら、もうそれだけですごい。けど、そういうことはよほど細かい話でない限り、ないと思います。そしてそういう疑問を解決するということは、何も学問的に深い解決が欲しいわけではなく、ちょっとした知識、ちょっとしたヒントが得られればいいのです。それでずいぶん安心できます。
だから、僕はマジメに仕事をしようと思う人は、どんな人でも「本探し」を心がけていないといけないと思います。「本探し」というのは、新書、文庫を含めて本はいっぱい出てて、読みたいときに手に入らない、ネットで探してもどれだか判らない、図書館行ってもピンとこないということが多いのです。でも、なんだかいつか本屋で見たような…。だから、何となく気になる本が本屋にあったら、高い本は買えないけど、文庫、新書なら買えないこともないから買っておく方がいいです。自分の場合は、歴史が専門ですが学校に勤め始めたころは地理を担当することが多く、世界の各地域を学ぶために新書本をたくさん読みました。この場合、深く知ることが目的ではなく、世界各地のエピソードを授業で使いたいというような目的なので、新書などが最適だったわけです。
さて、新書を実際に選んでみると…。大型書店に行くとあまりにもたくさんの新書が並んでいてどれも興味深いから、逆にまあどれも読まなくていいかという感じです。元々は戦前に岩波新書が創刊され、戦後になって中公新書、講談社現代新書が創刊されました。だからこの3社の新書には、長いこと読み継がれてきた名著がたくさんあります。そういう新書では、各学問の大学者が判りやすく書いた本、若手の研究者が最初に一般向けに力を入れて書いた本などが主流となります。だから今ではちょっと難しいと思う本も多いかもしれません。後発の新書ではもっと判りやすく書かれた新書もたくさんあります。でも、そうなると少し薄手で、中身も確かなのかなと思うような新書もある気がします。でも、どんなことでも「身銭を切って学ぶ」ことが大事なのだと思います。飲食代を考えれば、新書本など安いものです。買っても読んだらすぐにブック・オフ行きになる新書も多いと思いますが、まあそうやって自分に役立つ本の選び方を学んで行くのがいいでしょう。
例を挙げてみれば、9月の岩波新書新刊は、「勝てないアメリカ」「百年前の日本語」「構造災」「川と国土の危機」です。一方幻冬舎新書の近刊には「病的に自分が好きな人」「仕事ができる人はなぜワインにはまるのか」「介護ヘルパーは見た」「オタクの息子に悩んでいます」「AKB48白熱論争」「発達障害と呼ばないで」「ゆるす力」「ルポ ゴミ屋敷に棲む人々」「職業としてのAV女優」「コミュニケーションは、要らない」…などの本が並んでいます。大分違いますね。専門性を必要としないなら、幻冬舎新書の方に興味深い本が多いという人の方が多いでしょう。その他、本当にいろいろな新書が出ているので、見ているだけで楽しくなります。つまり、岩波を見ればアメリカや災害を深く知るべきだということがわかります。幻冬舎を見れば、心理学的な本が多いように思い、それが今を考えるヒントになるでしょう。多くの人の悩みや関心のありかを知ることができます。しかし、本当に「仕事ができる人はワインにはまる」んでしょうかね。こういう「断言型ネーミング」も本を目立たせる工夫ですね。こういう本を読んでると「話題が豊富」になれますが、逆に「いい加減な話を大げさに言っている」という風に思われるかもしれませんが。
そして新書で有名になった著者がその後どんどん活躍していくことも多いので、長い目で読んで行くということが大切です。ちょっと難しい新書でも、挑戦してみることが大事。そして大事なことは、自分の専門そのものではない分野の新書も読むこと。せっかく判りやすい本が出ているんだから、読まないのは損です。
最後に、具体的なアドバイス
①一月一度は大きな書店に行って、新書のコーナーを見る。(買わなくても、どんなテーマの本が並んでいるかを見ると、世の中の傾向を感じることができます。)
②新聞の書評欄、本の広告を見て、文庫、新書をチェックする。
③新書は2冊(以上)買う。1冊は自分が読みたい、あるいは仕事に役立ちそう、あるいは自分の専門に関係していて読んでおいた方がいい本。でもそれだけではなく、その時に、自分の専門外で、すぐ仕事に役立ったりはしないだろうけど、なんだか面白そうな本をもう1冊買う。文系の人なら理系の本、あるいは「AKB48白熱論争」を買う時に、政治や経済の本も買う。そうして自分の知的な引き出しを増やしていく。それが大事だと思います。