尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

明治学院とその周辺散歩

2015年11月04日 00時43分32秒 | 東京関東散歩
 2日は大雨で寒い日だったけど、3日はさすがに「晴れの特異日」だけあって、全国的にカラッと晴れ上がった。今はちょうど「東京文化財ウィーク」をやっていて、文化財の特別公開などがあちこちで行われている。そこで今日も文化財散歩。都営地下鉄三田線の白金台駅から、都営地下鉄浅草線高輪台駅まで明治学院大学を中心にその周辺を散歩。明治学院大学のインブリー館は国の重要文化財である。一度見てみたかったし、他にも歴史的建造物がある。

 東京は政治や経済の中心地というイメージばかり強調されるけど、明治以後の首都だから「近代化遺産」はかなり残っている。近代的教育制度が整備されて、大学ができたのも東京が始まりである。「文教都市」というイメージはないが、数で言えば有名な大学は東京が一番多いんだろうと思う。近代遺産はまだほとんど国宝に指定されていないが、大学の重要文化財はけっこうある。東京にあるのは東大の安田講堂、早大の大隈講堂、慶大の三田演説館と図書館、明学大のインブリー館、学習院の旧正門、芸大の旧東京音楽学校奏楽堂など。また京都の同志社大学礼拝堂等、龍谷大の大宮学舎等、北大の農学部諸施設、岩手大の農学部旧本館、熊本大の工学部旧機械実験工場など、調べると結構ある。旧制高校や旧制中学のものもある。そんな中でも、外観がきれいに残されているキリスト教関係施設としては東京で一番が明治学院大学なのだろう。で、インブリー館は下の建物。
   
 1889年の頃の木造2階建てで、そういうことは配布されている「明治学院 文化財ガイドブック」が詳しい。宣教師のインブリーさんが長年住んだからだという。日本にある宣教師館としては一二を争う古い建物だとある。今は中へ入れるので入って、2階も見る。インブリーさんの写真もああった。
   
 さて、重文だからインブリー館を先に書いたけど、入り口を入るとまずチャペル(明治学院礼拝堂)のステキな姿が見えてくる。本当は今は大学祭をやっていて、チャペルでも各団体の演奏や歌をやっていたけど、まあ入らなかった。ずらっと食べ物屋の屋台が並んでいて人もいっぱいいた。写真は出来るだけ人物を撮らないようにしたけど、ホントは人出が多かったのである。チャペルは港区選定の歴史的建造物に指定されている。独立した建物だから、立教よりずっと立派な感じ。今見たら同志社のチャペルも立派そうで、いつか行ってみようと思う。こんなチャペルがあるといいなと思う。1916年にヴォーリズの設計により建てられたが、1931年に学生数の増加に伴って拡張された。上から見ると十字架のかたちだとある。パイプオルガンもあり、ステンドグラスもステキそうだ。今度入ってみよう。
    
 インブリー館の隣、チャペルの真ん前には、明治学院記念館がある。これも港区の歴史的建造物で素晴らしい建築物である。1890年に建てられ、元は神学部の校舎と図書館だったという。卒業生の島崎藤村の「桜の実の熟する時」に出てくる由。藤村は「破戒」「夜明け前」を読んでるけど、それは読んでない。馬篭の記念館も小諸の記念館も行ってるのに忘れていた。明治女学院の教員だったことばかり知っている。校歌も藤村が作っているということで、チャペルの裏に記念碑が建っている。(下の3枚目の写真)記念館も見ると、創設者のヘボンさんの偉大さがよく判った。今はローマ字のヘボン式で名が残るが、それだけでなく多くの業績を残した人で、今年は生誕200年だという。学内に彫像もあった。(下の4枚目の写真)なお、大通りの歩道橋の上から記念館がよく見える。下の2枚目の写真。
   
 ところで、明治学院に行く前に、白金台駅の近くに「瑞聖寺」(ずいせいじ)がある。1670年創建の黄檗宗(おうばくしゅう)の寺。江戸初期に隠元が伝えた禅宗の一派である。ここの「大雄宝殿」(だいゆうほうでん)が国の重要文化財に指定されている。ただし、一度再建され、1757年の完成なので、江戸中期となり日本の仏教文化財ではそんなに古くない。でも明朝時代に由来する立派な建物。
   
 明治学院から歩道橋を渡ると、地名は高輪(たかなわ)で向こうに不思議な建物が見えてくる。それが東京都選定の歴史的建造物にも指定されている「高輪消防署二本榎出張所」である。「二本榎」(にほんえのき)というのは、この地域の古い地名だという。1933年の建造で、高いタワーが特徴的。だけど、今は周りがもっと高いマンションだらけになって、全然火の見の役には立たない。だから、登らせてくれない。中は2階までは見せてくれるけど、受付をすると案内が来る。2階は消防の歴史等の説明になっている。ホントは上を見たいんだけど、まあ仕方ない。とにかく「見た目の不思議度」では東京でも有数ではないか。それが町のど真ん中に今も立ち続けている。一度は見るべき東京風景。
   
コメント
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