16日になって、突然23日に森友学園の籠池理事長を国会に証人喚問することになった。さて、それは果たして行われるのだろうか。どのような経緯で、こうしたことになったのか。様々な観測もあるようだけど、僕には確実なことは判らない。籠池氏は「安倍首相から夫人を通して寄付金100万円を受け取った」と発言している。それに対して、安倍首相は全否定している。
まあ、そこらへんの問題は、今後の推移を見ていくことにしたいと思う。安倍首相は確かに「ウソをつくべき時はつける」人物だろうと思う。(確実にウソと証明されていることを堂々と述べ立てるドナルド・トランプのような人と「お友だち」になれる人である。)だけど、寄付金を出したからと言って違法じゃない。籠池氏の方が「安倍カード」で生き残りを図っていることも十分にあり得るだろう。
ところで、「塚本幼稚園」を経営している「森友学園」の「籠池理事長」なんて言われると、どういう関係なんだろうと思う。このうち、東京だと土地勘がないけれど、「塚本」は大阪市淀川区の地名である。幼稚園は1950年に設立され、「学校法人森友学園」は1971年に設立された。その時の理事長は森友寛氏で、だから森友学園である。森友氏は1995年に68歳で亡くなったが、関西の幼児教育や珠算教育では知られた人だったらしい。森友寛氏の娘が籠池夫人である。そういう関係。
その森友学園が小学校設立に乗り出そうと考えた。そのあたりことはまだよく判ってないことも多い。設置場所はどこでもいいけど、それ以前に大阪府から認可を受ける必要は必ずある。中央政府は2012年末から安倍政権だけど、大阪府はずっと「維新」が権力を握っている。具体的に言えば、2008年1月の知事選で橋下徹氏が当選した。その時は自民推薦、公明支持だったけど、やがて自民を離れて、2010年4月に「大阪維新の会」ができた。2011年11月に橋下知事が辞任して「大阪ダブル選」が行われ、知事に松井一郎氏、大阪市長に橋下氏が当選した。
2015年1月に大阪府私立学校審議会が、小学校の設置認可を適当と認めた。その結果、校舎建設ができることになったわけだけど、この間の「政治責任」は大阪府にある。幼稚園の教育内容を含めて、あまりにもずさんである。そもそも「幼稚園しか経営していない学校法人」が、小学校に乗り出すことが基本的に問題だ。「義務教育」である小学校の教育が森友学園にまともにできるとは思えない。それなのになぜ、認可に向けて進んでいったのか。大阪に巣くう「魑魅魍魎」(ちみもうりょう)を、この際徹底的にあぶりだすことが絶対に必要だと思う。
ところで、この学園が作ろうとしていた「瑞穂の國記念小学院」。名前からして怪しげだけど、ここの「名誉校長」に、安倍昭恵氏が就任していた。2回も幼稚園の講演に行ってるんだから、言い訳は効かない。「教育勅語に基づく教育」に賛同していたのである。当然、夫の安倍首相も同じだろう。この「首相夫人」は、「公人」なのか「私人」なのか。政府の公式見解は「私人」ということになったようだ。そりゃまあ、公職に任命した経緯はないんだから、法的には「公人」じゃないんだろう。
だけど、首相夫人には公務員のスタッフが付いていることが、今回明らかになった。何だ、そうだったのか。幼稚園での講演時にも同行していたというが、それは「公務」ではないという。でも、交通費は安倍夫人側が負担していた。それは問題だろう。「副業規定」かなんかに触れるんじゃないか。あるいは「接待」とか。公務員が相手持ちで、どこか(ゴルフとか)に行ったりしたら問題だろう。講演会は違うかもしれないけど、外形的には私的な時間の活動という点で同じだ。
だけど、首相夫人そのものが「私人」なんだったら、私人の私的行為に勤務時間も何もないから、公務員が私人の私的行為に協力するのは問題ではないのか。まあ、そういう細かい問題は別にして、首相夫人が今でも籠池夫人と「メールのやりとり」があった! 首相はそれを本質ではないというけど、そう言えるとしたら「名誉校長」をしていた時までだろう。夫が「しつこい」とまで言った相手、今もお騒がせ中の人に激励メールを送るか、普通。安倍昭恵氏も証人喚問が必要。
もう一つ、財務省の理財局関係者も証人喚問が必要だ。「理財局」なんて言われても、なんだかよく判らないけど、ここは国債、財政投融資、国有財産管理などを行っている。旧大蔵省から金融庁が分離された後、財務省では大臣官房以外には、主計局、主税局、関税局、理財局、国際局と5つしか局がない。歴代の理財局長がウィキペディアに出ているが、60年代後半から70年代にかけては、鳩山威一郎、相澤英之、橋口収、竹内道雄などの有名人がやっている。彼らは後職が主計局長で、理財局長はエリート街道だったのである。
その後、理財局長で退官も多くなるけど、ここ3代は国税庁長官になっている。だから、今回の払い下げ時の迫田英典前理財局長、現国税庁長官は、特に栄転でも左遷でもないということだろう。この人は、山口県豊北町(現下関市)出身、つまり安倍首相の選挙区出身である。だから何だと言えば、まあその通りなんだけど…。だけど、きわめて狭い人的スケールの中で「ことが進行した」のである。
安倍内閣では、官僚の人事を首相官邸で覆している。それぞれの省庁には、それまでの慣例的な官僚の出世の道筋がある。もちろん、そのような前例を守らないといけないということはない。民主党政権では、むしろ「政治主導」を前面に打ち出し、「官僚任せにしない」ことを求めていた。それが形だけ安倍内閣に受け継がれ、法制局長官人事のような強引なやり方がまかり通った。担当大臣が承認した人事を、官房長官が変更したことさえある。もちろん、法的には何の問題もない。
だけど、安倍首相が「口利きも圧力もない」と言い切るのを見ると、むしろ「圧力をかける必要もないほど、官僚が政権にすり寄る」姿を見て取ることができるのではないか。今は詳しく書かないけど、加計学園問題を含めて、首相(周辺)と近い人が明らかに優遇されるのを、首相本人が悪いと思ってない。「なんか法に触れてるんですか」という態度である。
韓国では同じように、「首相に近い人が優遇される」ことが弾劾された。まあ、刑事上の責任も認定されそうだけど。でも、法的な問題があるかないか以前に、首相の知人が優遇されていること自体に「道義的責任」がある。じゃあ、友人とゴルフもできないのか。「私人である妻」が「名誉校長」にも付けないのか。そうだと思うよ。そのぐらい「孤独」な地位が首相ではないんだろうか。(もちろん、半官半民的な国際友好団体や、知名度の高いボランティア団体なら、首相夫人が「名誉職」についても問題はないと思うが。)
まあ、そこらへんの問題は、今後の推移を見ていくことにしたいと思う。安倍首相は確かに「ウソをつくべき時はつける」人物だろうと思う。(確実にウソと証明されていることを堂々と述べ立てるドナルド・トランプのような人と「お友だち」になれる人である。)だけど、寄付金を出したからと言って違法じゃない。籠池氏の方が「安倍カード」で生き残りを図っていることも十分にあり得るだろう。
ところで、「塚本幼稚園」を経営している「森友学園」の「籠池理事長」なんて言われると、どういう関係なんだろうと思う。このうち、東京だと土地勘がないけれど、「塚本」は大阪市淀川区の地名である。幼稚園は1950年に設立され、「学校法人森友学園」は1971年に設立された。その時の理事長は森友寛氏で、だから森友学園である。森友氏は1995年に68歳で亡くなったが、関西の幼児教育や珠算教育では知られた人だったらしい。森友寛氏の娘が籠池夫人である。そういう関係。
その森友学園が小学校設立に乗り出そうと考えた。そのあたりことはまだよく判ってないことも多い。設置場所はどこでもいいけど、それ以前に大阪府から認可を受ける必要は必ずある。中央政府は2012年末から安倍政権だけど、大阪府はずっと「維新」が権力を握っている。具体的に言えば、2008年1月の知事選で橋下徹氏が当選した。その時は自民推薦、公明支持だったけど、やがて自民を離れて、2010年4月に「大阪維新の会」ができた。2011年11月に橋下知事が辞任して「大阪ダブル選」が行われ、知事に松井一郎氏、大阪市長に橋下氏が当選した。
2015年1月に大阪府私立学校審議会が、小学校の設置認可を適当と認めた。その結果、校舎建設ができることになったわけだけど、この間の「政治責任」は大阪府にある。幼稚園の教育内容を含めて、あまりにもずさんである。そもそも「幼稚園しか経営していない学校法人」が、小学校に乗り出すことが基本的に問題だ。「義務教育」である小学校の教育が森友学園にまともにできるとは思えない。それなのになぜ、認可に向けて進んでいったのか。大阪に巣くう「魑魅魍魎」(ちみもうりょう)を、この際徹底的にあぶりだすことが絶対に必要だと思う。
ところで、この学園が作ろうとしていた「瑞穂の國記念小学院」。名前からして怪しげだけど、ここの「名誉校長」に、安倍昭恵氏が就任していた。2回も幼稚園の講演に行ってるんだから、言い訳は効かない。「教育勅語に基づく教育」に賛同していたのである。当然、夫の安倍首相も同じだろう。この「首相夫人」は、「公人」なのか「私人」なのか。政府の公式見解は「私人」ということになったようだ。そりゃまあ、公職に任命した経緯はないんだから、法的には「公人」じゃないんだろう。
だけど、首相夫人には公務員のスタッフが付いていることが、今回明らかになった。何だ、そうだったのか。幼稚園での講演時にも同行していたというが、それは「公務」ではないという。でも、交通費は安倍夫人側が負担していた。それは問題だろう。「副業規定」かなんかに触れるんじゃないか。あるいは「接待」とか。公務員が相手持ちで、どこか(ゴルフとか)に行ったりしたら問題だろう。講演会は違うかもしれないけど、外形的には私的な時間の活動という点で同じだ。
だけど、首相夫人そのものが「私人」なんだったら、私人の私的行為に勤務時間も何もないから、公務員が私人の私的行為に協力するのは問題ではないのか。まあ、そういう細かい問題は別にして、首相夫人が今でも籠池夫人と「メールのやりとり」があった! 首相はそれを本質ではないというけど、そう言えるとしたら「名誉校長」をしていた時までだろう。夫が「しつこい」とまで言った相手、今もお騒がせ中の人に激励メールを送るか、普通。安倍昭恵氏も証人喚問が必要。
もう一つ、財務省の理財局関係者も証人喚問が必要だ。「理財局」なんて言われても、なんだかよく判らないけど、ここは国債、財政投融資、国有財産管理などを行っている。旧大蔵省から金融庁が分離された後、財務省では大臣官房以外には、主計局、主税局、関税局、理財局、国際局と5つしか局がない。歴代の理財局長がウィキペディアに出ているが、60年代後半から70年代にかけては、鳩山威一郎、相澤英之、橋口収、竹内道雄などの有名人がやっている。彼らは後職が主計局長で、理財局長はエリート街道だったのである。
その後、理財局長で退官も多くなるけど、ここ3代は国税庁長官になっている。だから、今回の払い下げ時の迫田英典前理財局長、現国税庁長官は、特に栄転でも左遷でもないということだろう。この人は、山口県豊北町(現下関市)出身、つまり安倍首相の選挙区出身である。だから何だと言えば、まあその通りなんだけど…。だけど、きわめて狭い人的スケールの中で「ことが進行した」のである。
安倍内閣では、官僚の人事を首相官邸で覆している。それぞれの省庁には、それまでの慣例的な官僚の出世の道筋がある。もちろん、そのような前例を守らないといけないということはない。民主党政権では、むしろ「政治主導」を前面に打ち出し、「官僚任せにしない」ことを求めていた。それが形だけ安倍内閣に受け継がれ、法制局長官人事のような強引なやり方がまかり通った。担当大臣が承認した人事を、官房長官が変更したことさえある。もちろん、法的には何の問題もない。
だけど、安倍首相が「口利きも圧力もない」と言い切るのを見ると、むしろ「圧力をかける必要もないほど、官僚が政権にすり寄る」姿を見て取ることができるのではないか。今は詳しく書かないけど、加計学園問題を含めて、首相(周辺)と近い人が明らかに優遇されるのを、首相本人が悪いと思ってない。「なんか法に触れてるんですか」という態度である。
韓国では同じように、「首相に近い人が優遇される」ことが弾劾された。まあ、刑事上の責任も認定されそうだけど。でも、法的な問題があるかないか以前に、首相の知人が優遇されていること自体に「道義的責任」がある。じゃあ、友人とゴルフもできないのか。「私人である妻」が「名誉校長」にも付けないのか。そうだと思うよ。そのぐらい「孤独」な地位が首相ではないんだろうか。(もちろん、半官半民的な国際友好団体や、知名度の高いボランティア団体なら、首相夫人が「名誉職」についても問題はないと思うが。)