尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「籠池証言」をどう考えるか①-森友学園問題⑥

2017年03月26日 21時11分13秒 | 政治
 3月23日に、森友学園理事長籠池泰典氏(64)の国会証人喚問が行われた。その時の証言をどう考えるべきか。長くなりそうだから、2回に分けて考えてみたい。僕はこの日は、最初の1時間程度は聞いていたんだけど、その後用事で外出した。だから直接聞いていた証言は少ないんだけど、後からニュースを見て追いかけた。証言内容は次回に回し、まずは「籠池氏をどう考えるか」から。

 僕は今まで、「なぜ申請を取り下げるのか」などで、一種の「出来レース」ではないかと書いてきた。しかし、この間の経過を見ると、僕の観測は間違っていたと思う。今回の国会証言に関しても、果たして実際におこなれるのか疑問に思ってきた。「刑事訴追を理由に証言拒否」「入院して病欠」「記憶がないと申し立てる」など、今までも国会証言を事実上逃げてしまうことも多かった。

 籠池氏はまぎれもなく「右翼」なんだから、最後は「国士」的にふるまい、すべての事実を自分で背負って、一人で懲役に行くべきなんじゃないか。僕がそういう可能性を考えても、不思議はないだろう。特に彼は「教育勅語」をよりによって幼稚園児に唱えさせていた。国家の一大事にあっては、自分を犠牲にして皇室につくせと子どもたちに教えていた。当然今回の事態にあっても、「逆恨み」なんかしていないで、自己一身を犠牲にすべきものだろう。

 今回の事態に対しても、「右翼陣営」が森友学園を救う動きはないのだろうか。つまり、「教育勅語」を幼稚園児に教え込むことを「素晴らしい」として称賛した人々は何をしているのか。「籠池は問題があるが、塚本幼稚園は救わないといけない」と考える人はいないのか。そういう人が出てきそうだったら、籠池氏もいろいろしゃべらずに、「裏取引」が行われただろう。僕は今までの経験から、そういう経過をたどる可能性もかなりあると考えていた。だけど、もうそれは不可能だろう。

 どうして、そうなったのだろうか。答えの一つは、森友学園の予想以上の「財務状況の悪さ」だろう。それを自民党が重点的に取り上げていたが、どこまで債務があるのか測りがたい感じである。規模は全然違うけど東芝と同じで、いかに右翼といえど、うかつには手助けに乗り出せないんだろう。だけど、そういう金の問題だけでもないように思う。

 一時は右派陣営でもてはやされても、それに見合うだけの有力な支持者や基盤がなかった。その「軽さ」こそが、規制緩和時代の「起業」には必要だった。今までにも何人も見てきた、もてはやされたあげくに捨てられた「軽いノリ」の「起業家」である。「右翼」だと思うから、右は右なりに「思想」に基づく「教育者」かと思ってしまうけど、多分ちょっと違うんだろう。

 籠池氏は「今も安倍首相は大好き」だけど「ウソはいけない」などと言っている。これはごく普通の政治的知識がある人には、理解不能だろう。ウソはいけないんだったら、もっとずっと前に安倍首相を信じられなくなるはずである。「平気でウソを付ける」のが、ある種安倍首相の能力ではないか。いま「悲願の憲法改正」にもう一歩というところまできた安倍首相に対して、事実がどうであれ、足を引っ張るなんて「保守」を名乗る人がすべきことなのか。右から見ればそうなるだろう。

 今まで様々の「疑惑」が取りざたされて、国会に呼ばれた人がいる。洗いざらいなんでもしゃべってしまえばいいのにと思うけど、そういう人はまずいなかった。籠池氏はまだ何か隠しているのかどうかは知らないけど、とりあえずの感じでは、「なんでもしゃべる」(3通の金額の異なる契約書があったことを除き)という気がした。こういう人は今までの感覚では「珍しい」と思う。だけど、今後は増えてくるんじゃないか。では言ってることが「真実」なのか。それは厳密に証拠によって証明できる「科学的真実」というよりも、「私の真実」に近いのかもしれない。

 今までは「言った言わない」になるようなことも、今では「メール」で残っていたりする。そういう時代である。そうなると、「記録がない」ということも、誰かが保身のために「ICレコーダーで録音していた」となるかもしれない。そう考えると、今後どんなことが出てくるか判らないだろう。もはや財政破たんが避けられない森友学園、今後「詐欺」や「偽証」で刑事事件化も予想できる籠池理事長。週刊新潮いうところの「死なばモリトモ」で、どんどん知ってることを何でも言えばいいだろうと思う。もうそれしか、籠池氏が歴史に名を残す道はない。それがどういう結果をもたらすか、誰にも判らないとしても。
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