尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

利尻山、最北の百名山-日本の山②

2019年02月21日 22時39分26秒 |  〃 (日本の山・日本の温泉)
 日本で一番美しい山は何だろうか? 「美しい」の定義にもよるが、見て美しいというならやっぱり富士山だろうと答える人が多いだろう。確かに箱根や富士五湖辺りをハイキングしていて、富士山が見えてきたときの感激は素晴らしいものがある。でも子どもが直角みたいに富士山頂を描くのに対し、現実の富士山頂は案外鈍角である。「円錐形が美しい」と言うならば、日本各地には〇〇富士と呼ばれる山がいっぱいあって、「富士山より富士山みたいな山」もある。
 (利尻山)
 その中でも僕の一押しは、日本最北の百名山、北海道の利尻山(りしりざん、1721m)だ。アイヌ語の「リー・シリ」(高い島)から付けられたというが、島全体が成層火山からなる。一番利用されている登山口の鴛泊(おしどまり)のあたりは、町名も「利尻富士町」(1990年)にしてしまった。近年は温泉を掘り当て「利尻富士温泉」と呼んでいる。(ちなみに島西部の沓形は利尻町。)でも利尻山に登ると利尻山は見えないわけだから、見るという意味では麓の湖、そして何と言っても隣の礼文島(れぶんとう)にある「礼文林道」から見る利尻山が抜群に美しい。
 (礼文林道の向こうに利尻山)
 僕が利尻山に登ったのは、1993年の7月末である。何ではっきり言えるかというと、地元で「731部隊展」に関わっていた記憶が鮮明だからだ。直前の大事な時に10日間ほど抜けてしまった。この頃は毎年のように北海道を自分の車でドライブしていた。まだ学校が週休2日じゃなくて、土曜日に月2回か3回授業していた。公務員はもう週休2日になっていて、学校があった土曜分の休日は夏や冬の休みにまとめ取りできたのだ。その時はフェリーで苫小牧まで行き、さらに小樽から利尻島まで行く夜のフェリーに乗った。朝起きたら利尻山がくっきりと海に浮かんでいた。
(利尻山テレカ)
 さすがにそのまま登山したのではなく、その日は島一周観光の後で早めに宿に入ったと思う。よく晴れた日で、素晴らしく美しい風景に見とれてしまった。島の南にある「オタトマリ沼」からは沼の向こうに山が見える。仙法師御崎公園では海にアザラシがいたし、郷土資料館も興味深かった。北側にある「姫沼」では「逆さ利尻」が見事。泊った鴛泊の宿からは港も近く、夕陽がすごい。夕方に岬に登ると、海と夕陽の絶景。もう「すごい」「美しい」以外に言葉が出て来ない。利尻島は素晴らしいと思ったが、次に礼文島に行ったらもっと美しい島だったので驚いた。
 (オタトマリ沼から利尻山)
 次の日は朝早く起きて、登山口へ。三合目の野営場まで車で行ける。そこが230mぐらいなので、利尻山としては1721mだから、一日で1500mを上り下りするので、かなりきついコースではある。少し歩くと甘露泉がある。日本名水百選である。僕はずいぶん名水にも行ってるが、岩手の龍泉洞に並ぶ美味しい水だと思う。その後は、ひたすら4時間近く登りが続いた記憶がある。山頂は見えず、手前にある長官山という偽ピークがある。その少し先に無人の避難小屋がある。
 (姫沼から利尻山)
 そこまで急登が続いて大変だったが、小屋まで行けばもう後は近い。そうなんだけど、最後も大変だった。もう凄いガレ場なのだ。ガレ場というのは、岩がしっかりしてなくて砂で崩れているような所である。富士山型の独立峰は四方八方から風が吹きつけるから、山頂付近の崩壊がすごいことが多い。とにかく足が取られて登りにくいが、注意しながらゆっくり行くしかない。そのうち山頂に着いたが、山頂あまり覚えてないが礼文島が見えたと思う。(南陵は禁止で北稜に登ったはず。)

 なんだか体力的にもう登れなさそうな気がするが、この美しい島にはいつかまた行ってみたいもんだと思う。実は礼文島には21世紀になって、もう一回車で行ったことがある。その時は利尻はパスした。小樽からの航路はもうないと思う。今は稚内からフェリーで行くしかない。利尻島、礼文島は1965年に国立公園に指定されたが、1974年にサロベツ原野も追加指定され、「利尻礼文サロベツ国立公園」となっている。日本最北の国立公園で、サロベツの広大な風景も忘れがたい。
コメント
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