「東京難民」 福澤 徹三 著
なんだかなぁ・・・・主人公の若者の考え方や行動にイライラさせられながらも気になって気になって、一気に読んでしまった本です(苦笑)。
「ごくごく平凡な大学生が、ある日突然に「大学除籍」をされます。「授業料の未納」が原因です。
授業料は実家から直接支払われていたはず・・・あわてて実家に連絡をしたが電話は通じない。実家を訪ねても両親は行方不明、家は借金のカタに怪しげな人物の手に・・・。
仕送りもなくなり、貯金もゼロ、そのうち「家賃滞納」でアパートも追われる。
何がなんだか分からぬままに、「自活」するための戦いが始るのです。
特に大きな夢を持つこともなく、なんとなく日々を送ってきてしまった主人公が、大都会東京で「貧困」と「孤独」の中でどう生きるのか・・・。
まさに「東京難民」となっていく過程が、「なるほど」「まさか~~」「そこまでは・・・」と思いつつも、「ありえるんだろうな」と変わっていく私自身に驚きました。
戦争で住む場所を失ったのが「難民」。お金がからむ「経済戦争」に負けて、「転落」「放浪」し、住む家を失ったホームレスも「難民」と呼べる・・・という文章に納得。」
読み進む中で、「しっかりしなさい!」と、何度主人公をドヤしたくなったことか(苦笑)。
でも、彼の持つ優しさが垣間見えることで「まぁいいか~~」と思ったり、若者の持つ危うさにハラハラしたりしながらも、最後に、「ほんの少し明るさ」が見えたことで、ほっとした読み終わりでした。