prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ニューオーリンズ・トライアル」

2004年02月08日 | 映画
陪審コンサルタントなんて商売、実際はどの程度この通りなのか知らないが、いかにもありそう。陪審員工作で裁判に勝つやり口の問題点は「陪審員」でも扱っていたが、工作の徹底ぶりはその比ではない。

こういう裁判の中身以前の部分でやたら金がかかる(コンサルタントの設備とスタッフの人数からして、維持費だけで莫大だろう)ものだから、仇役の銃メーカーの幹部にさえイヤな顔をされている。まったく生産性のない金のかかり方だと思う。あまりに訴訟に費用がかかりすぎていることがアメリカ社会の足枷になってきていると、先日の「ニューズウィーク」で伝えていた。

判事役のブルース・マッギルは「インサイダー」の弁護士役で見て覚えた顔。その時は、こういうなじみのない顔の役者がいきなりうまい芝居を見せるのがアメリカ映画の強みだと思ったが、こっちが覚えていないだけで調べてみると出演作はかなり多い。陪審員の中にジェニファー・ビールスがいるが、タイトルでは3分の1の扱いだった。他、脇に印象的な顔、多し。

ハックマンとホフマンの直接の共演場面は一つしかなくて、こういう競演だと、正義派をやる方は不利だと思う。劇中では二人のスーツの値段が天地の開きという設定なのだが、エンド・タイトルを見ていたら同じブランドというのが、なんか可笑しい。ちなみに、suitには訴訟という意味もある。

ストーリー展開をスピードアップさせるためか、アクションの途中を飛ばしてつなぐ非常に細かいけれどうるさい感じがしない編集術。レイチェル・ワイズが襲われる場面を途中からフラッシュバックにしたり、ずいぶん凝っている。

それにしても、本場(?)アメリカではずいぶん疲弊しているような陪審員制度を、日本でも取り入れてうまくいくものだろうか。早い話、あたしは裁判員なんてやりたくないね。
(☆☆☆)


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