prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「カナリア」

2006年08月21日 | 映画
オウムの子供たちのうちの一人をフィクションとして主人公にして、ウリに近い真似をやっている少女との旅を描いているのだが、いったんカルトに染まったらああ「普通」に振舞えるだろうか、と思う。
あれくらいの苛立ちは、むしろ当然みたいなものだ。

逆説的に少年の祖父に代表される「普通」の側の意識の不寛容・硬直ぶりを突いているのかもしれないが、人間同士の断絶ぶりを改めて描いても始まらない気がする。
カルト側も世間側もどっちも息が詰まっているよう。なんか、もういいよという気分。

えんえんといかに閉塞状況を描いた末に最後にとってつけたように生きることを説かれても困る。生きている実感自体を感じさせることの方が(少なくともこっちには)必要に思う。
(☆☆☆)



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