prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「樹の海」

2006年08月27日 | 映画
富士の樹海に自殺しにやってきた男女にまつわる四つのエピソードを組み合わせた一編。
東京タワーの模型、いつ撮ったかわからないツーショットの写真と名刺、ネクタイ、サラ金のチラシなどの小道具の使い方が映画的で、練れている。
樹海に道に迷った時のためのロープを張り巡らしているというのは本当にあることだろうか。

未遂にせよ既遂にせよ、まだ生に執着があることに焦点を合わせた作り。
森の撮影(柴主高秀)が見事で神秘的ですらある。一種の森林浴をしているようで、命に包まれていくうち後戻りしたくなるよう。
(☆☆☆★)

映画とは別に、からくり民主主義高橋秀実のうち「ぶらさがり天国」を読むと、実際に樹海のそばに住んでいる人は、自殺体を見つけてもまたかといちいち通報しない(調書をとられるなど余計な手間ばかりかかる)とか、ほったらかしにされた首吊り死体は次第に熟した果実のようにゆるんで自然にちぎれて落ちるとかいった不謹慎な話がいろいろあって面白い。 


本ホームページ 

樹の海 - goo 映画
 
樹の海 - Amazon