prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「墨攻」

2007年02月16日 | 映画
スペクタクルとしては見応えがあるけれど、シーンやキャラクターのつながりにぎくしゃくしたところがある。軍勢を眺め渡すだけでなく、軍勢越しに鋭く流してパンし疾駆する馬を追うカットなどに魅力あり。

戦闘を描きながら戦争を否定するというのも難しい話で、戦争の悪さを王様とその臣下の悪さに全部押し付けてしまっている観がある。
だけれど「いい」王様だとしても戦争に巻き込まれたら自分の国は自分で守らなくてはならないのだし(この場合、それを放棄しているから始末が悪い)、守るためには戦わなくてはならず、いざ戦いになったら非戦闘員が犠牲になる。それを遡って防げるのは皮肉だけれども墨家のような戦術家ではなく政治家しかないと思う(緒方貞子氏の意見の受け売り)。

「いい城には一つ弱点がある」というのは「七人の侍」にも出てきた箴言だが、元ネタは何だったか、ちょっと思い出せない。
(☆☆☆★)