展開の仕方がまことに独特で、冒頭のコン・ゲームから予測されるような意外性を狙ったプロットが優先するのではなく、女占い師、老いた役者が集まった芸能社、貯金しているチンピラ、有力政治家、後始末のプロといったまるで違う世界を、桂馬の進路みたいに斜め先にずれながら縫っていって、最後にひとつの絵にするような構成。
最初からプロットにさまざまな要素が奉仕するのではなく、それぞれに一応独立した世界を横断していく結果として筋ができて最後にテーマが見えてくる。
ディテールもいちいちずらしてあって、たとえばパトカーが乗用車に追われる普通と逆の画のカーチェイス(舞台になるのが、日本のどこにこんな風景があるのかと思わせる「フルメタル・ジャケット」の後半のような広大なコンクリートの廃墟)のあげく、パトカーが転落した現場から逃げるヒーローとヒロイン、というハリウッド映画だったら確実に背後で車が爆発するところを、ついに爆発しないで通す。
宴会騒ぎで本来はトロンボーン奏者の谷啓が演奏しているのがサックスだったりする。
もともと松田優作主演で企画されていた脚本だが、いよいよアクションシーンで黒皮の上下で身を固めた藤原達也が殴りこみにいくのはいやでも優作の「遊戯」シリーズを思わせる、かと思うと、いきなり香港ノワール「狼 男たちの挽歌・最終章」の再現にいってしまう。
藤原達也は強いのかどうかよくわからないイメージでもっていって、アクション・シーンで持ち味の甘さにハードさを混ぜて見せ、いいところを見せる。結果、まぎれもなく藤原主演の作品となった。
終盤、宴会シーンで幻想を混ぜたのはこのためかとも取れる幻想がかった展開になるが、成功とも失敗ともにわかに決めにくい。
(☆☆☆★)
本ホームページ
最初からプロットにさまざまな要素が奉仕するのではなく、それぞれに一応独立した世界を横断していく結果として筋ができて最後にテーマが見えてくる。
ディテールもいちいちずらしてあって、たとえばパトカーが乗用車に追われる普通と逆の画のカーチェイス(舞台になるのが、日本のどこにこんな風景があるのかと思わせる「フルメタル・ジャケット」の後半のような広大なコンクリートの廃墟)のあげく、パトカーが転落した現場から逃げるヒーローとヒロイン、というハリウッド映画だったら確実に背後で車が爆発するところを、ついに爆発しないで通す。
宴会騒ぎで本来はトロンボーン奏者の谷啓が演奏しているのがサックスだったりする。
もともと松田優作主演で企画されていた脚本だが、いよいよアクションシーンで黒皮の上下で身を固めた藤原達也が殴りこみにいくのはいやでも優作の「遊戯」シリーズを思わせる、かと思うと、いきなり香港ノワール「狼 男たちの挽歌・最終章」の再現にいってしまう。
藤原達也は強いのかどうかよくわからないイメージでもっていって、アクション・シーンで持ち味の甘さにハードさを混ぜて見せ、いいところを見せる。結果、まぎれもなく藤原主演の作品となった。
終盤、宴会シーンで幻想を混ぜたのはこのためかとも取れる幻想がかった展開になるが、成功とも失敗ともにわかに決めにくい。
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