prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「太陽がいっぱい」

2008年07月21日 | 映画

アラン・ドロンがレストランで後ろに密偵がいるのを知っていてわざとぺらぺら情報をもらす場面、スパゲッティを注文しているところといい、「ルパン三世・カリオストロの城」に似たような場面があったな、と思う。

吹き替えは新版のはずだが、ドロンはやはり野沢那智。最近珍しいフィックスですね。

淀川長治がこれを「ホモ映画」と喝破したことは有名だけれど、フィリップの死体の包みから手だけ出ていて、それと対応するように勝利に酔いしれたドロンがワイングラスを傾ける手がメインになったカットがつなげられるところ、殺人場面に別の帆船が目撃者のようにインサートされ、ラストシーンでもやはり帆船が停泊している対応などの指摘に、なるほど死んだ男がおいでおいでしているのだなと納得させられる。

盲人の杖を金にあかせて買い取り、目が見えないふりをするシーンは、テレビでは当然カット。二人の性格のいやらしさが実によく出てるのだが。
魚市場のシーンも例によってカットされていたみたい。二度目の殺人の死体処理で、手すりを死体の手が滑っていくのを下から撮ったところもカット。
感覚的に鮮烈な(しかしストーリー上は必ずしも要らない)ところが優先的に切られている。