石文に使われる石が大半、明らかに卵の形をしている。卵はたとえばクリスマスに食べられるフライドチキンにも、また田んぼで餌を漁っている白鳥の群れにもつながるだろう。火葬場の炎がぼっと点火されるカットが白鳥の群れが一斉に飛び立つカットにつながれる今どき珍しいような古典的モンタージュ表現が、あの世への旅立ちも生の一部と捕らえる死生観を端的に見せる。
山崎努が出ているせいもあるし、厳粛な葬式にちょっとオフビートな笑いやセックスが入ってくるあたりなど、「お葬式」をちょっと思わせる。
本木雅弘の納棺の所作が堂に入っている。まじめな顔をしている時の端正さと、ちょっと崩れた時に三の線に入る持ち味がひさびさに出た。
ちょっと不思議な感じがしたのは、広末涼子がウェブ・デザイナーという設定のはずなのに、山梨に引っ込むとあまり仕事している様子がないこと。山梨にいたってかなりの程度できる仕事ではないかと思えるのですが。しているという設定なのだろうか。
義母がやっていたスナックを復活させるのかと思ったら、そういうわけでもないし。
三角形のテーブルなど見ていると、かなり変わった母親だった気がする。チェロを教えたのは父親らしいが、教え続けたのは母親のはずで、欲をいえばどういう心境だったのかもっと暗示的にでも知りたかった。
山梨の風景が魅力的。建物のロケーションの選択にも才気が見られる。
不思議と故人に若い人が多い。その方が葬式でのドラマを見せやすいからでもあるだろうけれど、ふつうは亡くなるまで長い時間かかるのが大半だろう。ないものねだりではあるけれど、その長い生きていた時間がオミットされて、そこにあっただろうドラマがあまり見えなくなっているのは気になる。
死んだら終わり、ではないわけで、それまでがリセットされるわけではないから。
亡くなる父親役は誰だろうと思っていたら、峰岸徹。なんと、見てすぐ後に訃報を聞く。合掌。
(☆☆☆★★★)
本ホームページ
goo映画 - おくりびと
山崎努が出ているせいもあるし、厳粛な葬式にちょっとオフビートな笑いやセックスが入ってくるあたりなど、「お葬式」をちょっと思わせる。
本木雅弘の納棺の所作が堂に入っている。まじめな顔をしている時の端正さと、ちょっと崩れた時に三の線に入る持ち味がひさびさに出た。
ちょっと不思議な感じがしたのは、広末涼子がウェブ・デザイナーという設定のはずなのに、山梨に引っ込むとあまり仕事している様子がないこと。山梨にいたってかなりの程度できる仕事ではないかと思えるのですが。しているという設定なのだろうか。
義母がやっていたスナックを復活させるのかと思ったら、そういうわけでもないし。
三角形のテーブルなど見ていると、かなり変わった母親だった気がする。チェロを教えたのは父親らしいが、教え続けたのは母親のはずで、欲をいえばどういう心境だったのかもっと暗示的にでも知りたかった。
山梨の風景が魅力的。建物のロケーションの選択にも才気が見られる。
不思議と故人に若い人が多い。その方が葬式でのドラマを見せやすいからでもあるだろうけれど、ふつうは亡くなるまで長い時間かかるのが大半だろう。ないものねだりではあるけれど、その長い生きていた時間がオミットされて、そこにあっただろうドラマがあまり見えなくなっているのは気になる。
死んだら終わり、ではないわけで、それまでがリセットされるわけではないから。
亡くなる父親役は誰だろうと思っていたら、峰岸徹。なんと、見てすぐ後に訃報を聞く。合掌。
(☆☆☆★★★)
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