現在の荒廃したホテルと過去の営業していたホテルが交錯するあたりは「シャイニング」ばりで結構見せるが、後半になって映画中映画の場面と、過去の実際の連続殺人事件の八ミリ映像、それから優香が霊感だかで見る情景とがにだんだんごちゃごちゃしてきて頭の中で整理するのに追われて、怖がるまで手がまわらなくなってくる。
技法はアート・フィルムに近く(「呪怨」の時制交錯も、もとはキエシロフスキがヒントだという)、優香と香里奈とのエピソードが別々に進行して、結びつき方が唐突な上、それまでこれといった経緯がないからそれがどうしたのかと思わせる。
椎名桔平のエキセントリックな映画監督も犠牲者の生まれ変わりらしいけれど、「生まれ変わり」を信じていない人物を設定してその視点で追わないと、ンなもの信じていない客はついていけないよ。
殺された犠牲者たちも幽霊なんだかゾンビなんだかよくわからない動き方をしているし、人形が何なのかも不分明。
(☆☆★★★)