prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「暴行」

2008年12月11日 | 映画
ポール・ニューマンがオリジナルの「羅生門」の三船敏郎にあたる役?というのが見る前の疑問だったのだが、見たらもっと疑問。髪を黒くして髭を伸ばし、メキシコなまりの発音と、なんだかアンソニー・クインのコスプレみたい。
直接アメリカでリメイクのシナリオが書かれたわけでなくて舞台劇化されたものを改めて映画化したわけで、日本でいう赤毛芝居を裏返ししたみたいな違和感。

原典のディテールをいちいち律儀に西部劇に移し変えているけれど、それだけに土砂降りの雨とか原生林といった強烈なビジュアル、無声映画的なカットの積み重ねの切れ味、アクションの緊迫感、いずれも到底及ばず、逆に黒澤の映画的力量をいちいち確認させられる。
裁判劇はむしろアメリカ映画の十八番なのだが、それだけに証人の証言がいちいちまるで食い違うのはごく当たり前のことと映り、何が恐ろしいのかよくわからない。
(☆☆☆)


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