恵まれた生まれ育ちを捨ててドロップアウトしてアメリカ中を放浪する内容といい、ところどころでやたらと凝った映像処理をしてみせるところといい、今どき珍しいニューシネマの匂いがする。
反抗的な役柄と実生活を過ごしてきたショーン・ペンが、時間を経て反抗の意味を距離と共感の両方をもって描いている。
放浪と平行して両親との関係が妹のナレーションとともに描かれていくわけだが、どれだけ「外」に向って何物かを求めていても、結局逆に「家」や「文明」からは逃れられないよう。
射殺したヘラジカを捌ききれないで腐らせてしまい、残りの肉を野生の狼がガツガツ漁るのを見て、荒野はこういう生き物でないと生きていてはいけない場所だとナレーションがかぶさるシーンが厳しい。いかに人間が肉体的には弱い動物で、身を守るために文明を作り出さなくてはならなかったか、そしてその文明に縛られて窒息しかかっているかを思わせる。
エンドロールのロケ地の数の多さに驚く。アメリカというのも改めて広い国だと思うし、その割りにどこに行ってもそんなに変わらないとも思わせる。
主人公が読んでいるのがトルストイで、ドストエフスキーではないのがそれらしい。より倫理的というか。
(☆☆☆★★★)
本ホームページ
イントゥ・ザ・ワイルド - goo 映画
反抗的な役柄と実生活を過ごしてきたショーン・ペンが、時間を経て反抗の意味を距離と共感の両方をもって描いている。
放浪と平行して両親との関係が妹のナレーションとともに描かれていくわけだが、どれだけ「外」に向って何物かを求めていても、結局逆に「家」や「文明」からは逃れられないよう。
射殺したヘラジカを捌ききれないで腐らせてしまい、残りの肉を野生の狼がガツガツ漁るのを見て、荒野はこういう生き物でないと生きていてはいけない場所だとナレーションがかぶさるシーンが厳しい。いかに人間が肉体的には弱い動物で、身を守るために文明を作り出さなくてはならなかったか、そしてその文明に縛られて窒息しかかっているかを思わせる。
エンドロールのロケ地の数の多さに驚く。アメリカというのも改めて広い国だと思うし、その割りにどこに行ってもそんなに変わらないとも思わせる。
主人公が読んでいるのがトルストイで、ドストエフスキーではないのがそれらしい。より倫理的というか。
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