prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「精神」

2011年06月02日 | 映画

見たところ歴然と病気とわかる人は少ない。比較的状態の良い時を撮影したからかもしれないが、撮る側がびくびく自主規制してモザイクをかけることでかえってどれくらい「異常」なのかと「期待」させていたのがわかる。

患者たちが太っている人が多い。運動不足のせいか食生活のせいか薬の副作用か、たぶんすべての気がする。
前はけっこう声をかけられたという女性の昔の写真を見たら、本当にけっこう美人なのにびっくり。元TBSの進藤晶子アナウンサー似というか。

患者がえんえんと自分のことを訴え続けるシーンが多い。おそらく、ほかの場所では病院を含めて聞いてもらえる場所がないのではないか。

想田監督の前作「選挙」に小泉純一郎が応援演説するところが出てきたが、ここでは「障害者自立支援法」という名の切捨て法案について患者が「よくぞやったな小泉」と言うシーンがある。
ナレーションがまったく入らない「観察映画」のコンセプトは「選挙」と一緒だが、患者=被写体がカメラ=記録者に向かってえんえんと訴えるところが多い分、記録者の存在はより明確で「無色透明」ではまったくない。