1979年10月6日公開。まだオウムも9.11もチェルノブイリもフクシマもなかった頃に作られていたわけです。ただし、同じ年の3月28日にスリーマイル島の事故が起きている。かなりきわどい時期だったはずだが、あまり問題になった形跡はない。
個人が原爆を作って国家を脅迫する、といってもいわゆるテロとは違っていて目的がおよそはっきりせず、沢田研二の変にすっこぬけてこれといって欲しいものもない、だから行動原理が読めないキャラクターが不気味。
猫が実験台になったり放射性物質を食べて死んだりするあたり、今だったら動物愛護協会からクレームが来そうです。
爺さんや妊婦などコスプレを見せたり裸でシャワーを浴びたりと、当時のジュリーのフツーの人ではない感じをフューチャーしております。
伊藤雄之助がバスジャックして天皇陛下に会わせろというあたり、皇居でアクションシーンを展開するのを含めてずいぶんアブないなと思わせる。本来、思う方がおかしいのだけれど。
メーデーの大量動員が実写の隠し撮りで出てきます。勢力としては原水爆反対の立場のはずで、皮肉まじりなのでしょうか。
プロ野球を最後まで中継しろとかローリング・ストーンズを来日させろといった要求は今では現実にかなってしまっているけれだけれど、もともと本当に欲求があったわけではなく、何か要求しないと考えないと格好がつかないからその場でひねり出したわけで、できたものは使わなくてはという本末転倒現象は、その後の消費社会ではますますエスカレートしています。
原子力発電所の警備がすごく甘くて、警備員がピストルを持っているかいないかなんて段階になっている。
海から襲撃するあたり、北朝鮮の部隊が襲って電気をとめようと思えばできるという話を思わせる。
助監督の一番下っ端についたのが黒沢清だったはず。
逮捕要員が相米慎二。すごいメンツが揃ってたのだな。
公開時残念ながら興行的に成功しなかったわけだが、核問題についてエンガチョ的な拒否反応しか持てない状況というのはもっとひどくなってるみたい。拒否したってもうパンドラの箱は開いてしまってるんですけどね。