水や風の表現は、実写では逆にこれくらい鮮明に細部を写すのは難しいだろうと思わせるくらいすごい。
実写でも本物の水や風は透明なのでなかなか写らず、たとえば「羅生門」では雨水に墨汁を混ぜて写るようにしていた。
アニメだから実際の水や風は使えなくても、というより写るように加工しなくても表現できるという逆説が成り立つ。
「スパイダーマン3」のサンドマンのCGは計算流体力学を導入していたというレポートを見たことがあるが(映画自体はスカ)、おそらくこの水の表現も物理的に正確な運動の計算から導かれたものではないか。
人間のイメージより自然の物理法則に従った自然表現。
自然の法則は人間とは関係なしに存在しているといったスタンスは、ヒロインがなかなか作物を作れなくて苦心するあたりにも見られて、いわゆるエコ・ライフのむずかゆくなるような自然観とは一線を画している。
嵐の日、誰もいなくなった学校の階段の途中の大鏡を使った(アニメだから写り込む心配がない)演出や、窓が開いてはためくカーテンに写る影の使い方などが冴え渡る。
嵐が過ぎたあとのスカッと抜けきった空気と光の透明感がすごい。
もともと自然の中で暮らすことが目的ではなく、人の険しい目が光っていないところで暮らしたいという欲求から始まったはずが、いつのまにか周囲といい関係が作られていく、よっぽどの僻地かと思っているとだんだんと村人たちが姿を現わしてくるあたりの、ヒロイン一家が受け入れられていく感じがいい。
「台風クラブ」「雪の断章 情熱」「ときめきに死す」「マルサの女」「となりのトトロ」というのが細田守監督が選ぶ日本映画五本で、日本映画全般ではとても絞りきれないので80年代に限って選んだ五本だが、これは後半もろに「台風クラブ」を思わせる。
男女の双子が大きくなって思春期になると出てくる違いが、おおかみと人間のどっちにつくかというかたちでくっきり描かれている。
(☆☆☆★★★)


本ホームページ
おおかみこどもの雨と雪 - goo 映画
実写でも本物の水や風は透明なのでなかなか写らず、たとえば「羅生門」では雨水に墨汁を混ぜて写るようにしていた。
アニメだから実際の水や風は使えなくても、というより写るように加工しなくても表現できるという逆説が成り立つ。
「スパイダーマン3」のサンドマンのCGは計算流体力学を導入していたというレポートを見たことがあるが(映画自体はスカ)、おそらくこの水の表現も物理的に正確な運動の計算から導かれたものではないか。
人間のイメージより自然の物理法則に従った自然表現。
自然の法則は人間とは関係なしに存在しているといったスタンスは、ヒロインがなかなか作物を作れなくて苦心するあたりにも見られて、いわゆるエコ・ライフのむずかゆくなるような自然観とは一線を画している。
嵐の日、誰もいなくなった学校の階段の途中の大鏡を使った(アニメだから写り込む心配がない)演出や、窓が開いてはためくカーテンに写る影の使い方などが冴え渡る。
嵐が過ぎたあとのスカッと抜けきった空気と光の透明感がすごい。
もともと自然の中で暮らすことが目的ではなく、人の険しい目が光っていないところで暮らしたいという欲求から始まったはずが、いつのまにか周囲といい関係が作られていく、よっぽどの僻地かと思っているとだんだんと村人たちが姿を現わしてくるあたりの、ヒロイン一家が受け入れられていく感じがいい。
「台風クラブ」「雪の断章 情熱」「ときめきに死す」「マルサの女」「となりのトトロ」というのが細田守監督が選ぶ日本映画五本で、日本映画全般ではとても絞りきれないので80年代に限って選んだ五本だが、これは後半もろに「台風クラブ」を思わせる。
男女の双子が大きくなって思春期になると出てくる違いが、おおかみと人間のどっちにつくかというかたちでくっきり描かれている。
(☆☆☆★★★)


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おおかみこどもの雨と雪 - goo 映画