prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ダウントン・アビー」

2020年01月28日 | 映画
冒頭で人物紹介が行われるのだが、伯爵ではなく伯爵夫人から紹介するのにあれと思った。
いつの間にか当主は完全に長女のメアリーになっているし、テレビシリーズの冒頭で限嗣相続制により男系だけに相続権があったのがウソのよう。

貴族社会と使用人社会とを同時に平行して同じウェイトで描くのがこのドラマのユニークなところだが、当然ながら時代が下るにつれこういう画然とした身分制にほころびが見えてくる。

そうなるともともと運転手だった被差別民であるアイルランド人のトムが両方の身分をつなぐ架け橋のような存在になってきて、国王や王女に対する働きかけにすらつながってくる。
おしなべてここでの使用人たちは共和制による身分の平等化よりは国王の権威を素直に受け入れている。
トムが共和制に賛成しながらも法を破ってまで身分制をひっくり返すのには反対する良くも悪くも穏健なスタンスが全体に通じている。

皮肉なもので、対立するのは上と下の階級の間ではなく、国王の使用人たちがダウントンの使用人たちに対しやたらと威張り散らし出番を奪ってしまう無礼による使用人同士の間で、そうなんだよなあ、下々の間の争いが先行するのだよなあと嘆息させ納得させる。

下僕出身のトーマスがもっともらしい顔で執事をつとめているかと思うとたちまち国王の使用人たちと復帰したカーソンの間に挟まって押し出されてしまうのが笑わせる。
久し振りにゲイである本来の性的嗜好を表に出せて嬉しそう。

多彩な人物を平行しながら捌くほとんどテレビシリーズのスペシャル版と違わない作りで、シリーズを全然知らない人がいきなり見たらキツいのではないか。もともと美術や衣装、撮影の素晴らしさからして大画面に移すにしても大きく変更するまでもなかったと思しい。
なんだかまだ続きを作ろうと思えば作れる感じ。

大画面で見ると、特に女優さんたちの体格の良さ、しっかりした骨格が目につく。豪華で、しかも肌を出すところが多い衣装のせいか。




1月27日のつぶやき

2020年01月28日 | Weblog