メールどころかLINEその他でいくらでも手軽に連絡のやりとりができるこの時代に手書きの手紙で文通するという古式豊かな趣向。
クラシックでロマンチックなムードがあるのはもちろんだが、メールなどがもっぱらスマホなどのガジェットに縛られ宛先の相手とピンポイントでやりとりされるのに比べ、手紙だとそれ自体が独立したモノだから、部外者が手にしたり目にしたり余地が多くなる。
そしてこの映画では本来の受け手ではない人の手を介するところを積極的に多くして描いている。
スマホはもちろん登場するのだが、それが使えなくなるようにする段取り、それから福山雅治が本来の初恋の相手だとその妹の松たか子を同窓会で間違えるまでの設定に脚本が知恵を絞っている。
手紙と共に本、それも全集が本棚に収まっている様子がしきりと画面に写る。
学校の図書室はもちろん、お寺の本棚にも全集本が横になっている。福山の自伝的な作品である小説の単行本といい、これまたクラシックな手触りを見せるし、「Love Letter」の図書館と「失われた時を求めて」の使い方を思わせる。
おしなべて当人同士の手を離れて残された言葉に託された、いなくなった人間に対する思いといったものを丹念に炙り出している作り。
仙台ロケの緑の中の川や城、寺といった美しい風景の一方でシャッター通りの中の寂れたアパートや飲み屋も撮っていて、しかも中山美穂や豊川悦司が登場するのにびっくり。
かつての岩井俊二映画のキャストを失われた時の浸食を経た姿として出してきている。
クラシックでロマンチックなムードがあるのはもちろんだが、メールなどがもっぱらスマホなどのガジェットに縛られ宛先の相手とピンポイントでやりとりされるのに比べ、手紙だとそれ自体が独立したモノだから、部外者が手にしたり目にしたり余地が多くなる。
そしてこの映画では本来の受け手ではない人の手を介するところを積極的に多くして描いている。
スマホはもちろん登場するのだが、それが使えなくなるようにする段取り、それから福山雅治が本来の初恋の相手だとその妹の松たか子を同窓会で間違えるまでの設定に脚本が知恵を絞っている。
手紙と共に本、それも全集が本棚に収まっている様子がしきりと画面に写る。
学校の図書室はもちろん、お寺の本棚にも全集本が横になっている。福山の自伝的な作品である小説の単行本といい、これまたクラシックな手触りを見せるし、「Love Letter」の図書館と「失われた時を求めて」の使い方を思わせる。
おしなべて当人同士の手を離れて残された言葉に託された、いなくなった人間に対する思いといったものを丹念に炙り出している作り。
仙台ロケの緑の中の川や城、寺といった美しい風景の一方でシャッター通りの中の寂れたアパートや飲み屋も撮っていて、しかも中山美穂や豊川悦司が登場するのにびっくり。
かつての岩井俊二映画のキャストを失われた時の浸食を経た姿として出してきている。