肉体を保存することで死後の世界の復活を望んだり、生前の世界の延長を望んだり、バリエーションはあるにせよ、一貫しているのは死にどう相対するかという普遍的なテーマだった。
各地の気候によって自然乾燥してミイラになりやすい場合と、日本を含む東アジアでは土が酸性でもあって骨も残らないなど、死生感にも違いが出てきているのかもしれない。
この展覧会の一種の目玉になっている柿の種を生前大量に食べて肉体の保存に供した幕末の本草学者や即身仏など、日本のミイラは妙に凝っている気がする。
他人の腕を入れて形を整えたり、仏像の中にミイラが詰めこんであったりと、CTスキャンによる調査の成果がわかりやすくミイラの実物の隣で30秒程度の短い映像のループで示されるあたり、こういう展示、プレゼンの技術やセンスもずいぶん進歩したものだと思わせる。