prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ジェラルドのゲーム」

2020年05月05日 | 映画
倦怠期対策で誰も来ない別荘に来て妻をプレイで手錠でベッドにくくりつけた夫が心臓発作で倒れてしまい、妻はベッドにくくりつけられたまま取り残されるというまことにシンプルで強力なシチュエーションのサスペンスホラー。原作はおなじみスティーブン・キング。

何しろ登場人物ひとりだけみたいな設定なのだから、これで長編劇映画がラストまで持つのだろうかと心配になる。
まず妻の幻覚(といっていいだろう)の形で倒れた夫が蘇って何かと喋りかけ、あまつさえもう一人の自分が現れて勝手なことを言い出す、という昔だったらアートフィルムの技法を駆使するあたりはなかなか凝っているな、見せるなと思わせる。

ただ回想シーンが入るあたりでやはり回想使うのかとがっかりする。しかもその回想の内容が現在とどう結びつくのか、抽象的観念的に過ぎ、さらに回想が心象風景みたいに飛躍してくると悪い意味でゲイジュツ的過ぎてダレる。
あまりにハードルを高くし過ぎた感が強い。

脱出の仕方と共に、犬の使い方がエグい。飼い主が亡くなったあと、遺体を飼い犬が食べるなんてことがけっこうあるという話を思い出した。
「クジョー」(は映画のタイトル、原作は「クージョ」)みたいに犬をもっと生かしようがあった気もした。