prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

5月8日のつぶやき

2020年05月08日 | Weblog

「無頼より 大幹部」

2020年05月08日 | 映画
予告編でもポスターでもヤクザの世界の実態を抉るドキュメントと謳っているが、実態は良くも悪くもメロドラマ。
渡哲也主演の人斬り五郎を主人公にした「無頼」シリーズの第一作。第二作が
「大幹部 無頼」なのだからややこしい。

松原智恵子の役など、今見ると、よよと泣き崩れてばかりの昔風のか弱い女性像そのまんまで、なんだか見ていてむずむずしてくる。

立ち回りは当然いくつもあるが、雨の中の大勢の乱闘、雨上がりの泥まみれの少人数の絡み、浜田光雄が新宿駅のホーム(週刊読売なんてキオスクで売っている)で刺される引きのショットと次第に描写を絞っていって、クライマックスで青江三奈の歌う「上海帰りのリル」だけが聞こえて乱闘の現実音が消える処理が鮮やか。

美術が木村威夫なもので、セットの感じが鈴木清順みたいにどこか現実離れしている。

1968年1月13日公開