prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

5月12日のつぶやき

2020年05月12日 | 映画

「落下の王国」

2020年05月12日 | 映画
インド出身で、ミュージックビデオやCMで名を上げたターセムの「ザ・セル」に続く第二回長編劇映画監督作品。
これまでに五本監督作があるが、監督だけでなく製作と脚本も兼ねたのはこれだけ。それだけオールマイティ体制で作ったということになるだろう。

一応時代設定はサイレント映画時代の1910~20年代、移民の女の子と撮影中の事故で負傷したスタントマンとが病院で出会い、スタントマンが女の子にするお話が全体の多くを占める。
病院に一緒に入院している人達とお話の中に出てくるキャラクターとが一人二役でダブルイメージになってる辺りは「オズの魔法使」の再生と言っていいだろう。

そういう意味ではファンタジーの王道と言っていいような作りではあるのだが、やはりミュージックビデオやCM出身らしいイメージ先行型の作りだと各場面がそれぞれ独立してなかなか繋がらないようなところもあってかなりかったるくはある。

ただし、ところどころ24ヵ国、13の世界遺産にロケし、それだけでなく石岡瑛子の斬新なデザインの衣装を着た人間たちを遺跡に配することで目を見張らされるような極めてオリジナリティの高いビジュアルを作り上げたのは確か。
まったくのノースター映画で3000万ドルと言う予算を使いこれだけ個人的な美意識で貫徹された世界を作り上げたのは驚異ではある。
ただし全世界の興収が367万ドル、と惨憺たる成績。

これが興行的に失敗したせいかこの後は比較的普通のスターを起用した商業的映画に収まることになる。