prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

5月31日のつぶやき

2020年05月31日 | Weblog

「港町」

2020年05月31日 | 映画
牛窓という小さな港町の、漁や網の手入れ、市場のセリ、魚をさばいてパックして一部は店頭に並べ一部は配達してまわる、といった生活が克明に写される。

あちこちで猫がまとわりつき、婆さまの一人が突然えんえんと自分のこととも他人のことともつかない、何に属するのか判然としない言葉を並べるクライマックスが唐突に来る。
初めからこういうものを撮ろうとするのではなく、今あるものをよく見てよく聞いているうちに思わぬものに遭遇してしまう、世界の違うフェーズに突き抜けてしまうスリル。

白黒にすると紛れもなく今の日本を撮っているのにもうひとつ抽象化された世界になる。年寄りばかり出てくるわけだがノスタルジックになるわけではまったくない。