prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「 サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」

2022年05月03日 | 映画
出だしのスティービー⋅ワンダーの若く溌剌としたパフォーマンスからして痺れる。
その後の次々に出てくるアーティストの多様さ。
黒人音楽としてまとめられる音楽にこれだけ多彩なものがあるのを目の当たりにする。
音楽が人間の生命の表現そのもので、人間としての誇りを保つ大きなツールであることがわかる。
ソウル(魂)という言葉がぴったり。

これがウッドストックと月面着陸と同じ年の開催という。
白人アーティスト主体のウッドストックは大々的に公開されヒットしたが、こちらは買い手がつかず封印された、ということ自体が差別と権力の手口を物語る。
その後ももちろん黒人差別はえんえんと続いている。

少し気になったのは、ゴスペルはじめ神への祈りと感謝が一環しているのだが、その神の肌の色は何なのかということ。
主とも仏陀とも呼び方は何でもいいとジェシー⋅ジャクソン(キリスト教バプティスト派の牧師で活動家)が説くが、彼らが通う教会が直接は白人のキリスト教発祥なのは確かで、だからマルコムXはムスリムに改宗したのかとも思った。

月に人を送り込むカネがあるのなら、ハーレムに病院と学校を作れという意見は、本多勝一の著書を通じて見た覚えがあるが、その生の声がいくつもいくつも並ぶ。