prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「オードリー・ヘプバーン」

2022年05月24日 | 映画
映画スターとしてのヘプバーンの顔は少しで、結婚生活、家族との生活、晩年のユニセフ大使としての面に多くの尺を費やしている。
とはいえ、スターとしての知名度・影響力がなければ多くの寄付や協力は得られなかったわけで、「良くも悪くも有名人の影響力は大きい」(クリストファー・リーヴ)を地でいっている感がある。
前は有名人がチャリティーをしたりするのは偽善ではないかと違和感を覚えることが多かったが、今では偽善だとして、偽善も善のうちと思うようになった。

ドキュメンタリーとはいっても、俳優になる前に志望していたバレリーナのイメージシーン(もちろん別人が演じている)から始まり、終わる。
いつの間にか、こういう作り物の映像をドキュメンタリーに混ぜても「やらせ」とはいちいち言われなくなった。

「ローマの休日」でアカデミー賞を受賞したすぐ後に最初の夫のメル・ファラーと一緒にパーティに出ている映像がつながるが、知り合ったのはずっと後の「戦争と平和」の共演時だと思った。同作の音楽を担当したニーノ・ロータのインタビューで「彼女(ヘプバーン)はメル・ファラーに激しく恋していた。歌を歌うシーンがあるので、彼女は音楽担当の私に直接教えを請いたいと言ってきた。撮影が終わったあと、お礼の電報が送られてきた。女優にこのように礼儀正しく振舞われたのは、彼女が最初で最後だ」とある。

特に日本では実に70年にわたって洋画専門誌「スクリーン」の人気投票で十位から外れたことがないという驚異的に息の長い人気を誇る。
余談だが、隣の家の娘さんが結婚して家を出ていく時に映画パンフレットを私に譲ってくれたことがあるのだが、「ローマの休日」のリバイバルのたびに違うパンフが何種類もあったものだった。

日本とアメリカ、ヨーロッパでその人気のあり方がどの程度違うのか、違わないのかはわからない。