ジュード·ロウといえば「アルフィー」のリメイクや「探偵スルース」のオリジナルでマイケル·ケインが演じた役をリメイクで演じて共演したりと、ケインの後継者みたいな立場にいるようだったが、本当にあのクラスの演技者が視界に入ってきた感。
もともとの二枚目が歳くって一段と男前になったみたい。
これと北欧の至宝ことマッツ·ミケルセンが並ぶと何が「秘密」なのか自ずとわかろうというもの。
ドイツの場面の未来派的なデザインが暗示するファシズムの影といい、クライマックスをネパールに設定して直接にでこそないが中国の影を暗示していることといい、明らかに全体主義下で一見して正当な手続きに見えるが実態としてはウソと情報操作で「敵」を設定して叩くことで独裁的な権力を握る、つまり現代の世界そのまんまのシステムが重ねられている。
マッツが「私は敵ではない、これまでも、これからも」と魔法使いたちに言うのは、裏を返すと人間たちに対しては違うわけだ。
魔法使いたちがキャラクターの大半を埋め尽くす世界だから見ている方も魔法使いになった気分でいるのだが、人間族を外から見る視点を提供しているわけでもある。
正直さとか心の広さといった平凡なようで貴重な美徳に焦点が合っているのもいい。
数々の魔法場面がアトラクション的な見せ場にまで膨れ上がらず、ドラマに必要で十分な範囲に収まっているのも作り手の成熟と自信の現れと思える。