prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「メアリーの総て」

2025年01月13日 | 映画
原題はMary Shelley メアリー・シェリー。「フランケンシュタイン」の作者。

なんでもないようだけれど、シェリーというのは夫パーシー・シェリーの姓で、メアリーはパーシーと1813年頃に出会ったのだが、彼はすでに妻子持ちで、翌年激怒した父ウィリアム・ゴドウィンから一緒に駆け落ちしたのであり、正式にシェリー姓を名乗ったのは1816年の末にパーシーの妻ハリエットが自殺してからということになる(おいおいだが、ご丁寧にもハリエットとパーシーがまた駆け落ちしていたのだった)。

当時ゴドウィン姓とシェリー姓のどちらを名乗っていたのかは曖昧で、姓と共にアイデンティティも引き裂かれていたと思しい。
作家として「フランケンシュタイン」を執筆するが、夫が書いたものだろうと出版社の編集者は信じない。ここがあからさまな差別の告発として見応えがある。

詩人バイロンがたいそうな女たらしぶりで、女性監督らしいというとなんだが、これまでのホラー寄りに処理していたバイロンとシェリーの「フランケンシュタイン」を生んだ一夜を扱った作品の中では毛色が違う。





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