prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「シサㇺ」

2024年09月18日 | 映画
全体とすると「ダンス・ウィズ・ウルブス」のように異人異文化にその外側にいるマジョリティから接近した一人の男が、初めは異文化に反発する=されるがやがて理解し同化しかけるも中途で曖昧に挫折し、しかし諦めはせず記録者として後世に理解を委ねて生きることを決めるという流れになる。

1552年にスペイン出身のドミニコ会士であるバルトロメ・デ・ラス・カサスが著した 「インディアスの破壊についての簡潔な報告」を思い出した。
類型としては先住民が住む土地に侵略し占領し略奪した植民地主義の一環として世界史の至るところに通じる。

鮭の漁の場面があるのだが、以前、アイヌ初の国会議員になった萱野茂氏の講演で、当時アイヌが鮭を捕る許可をとるのに必要な書類を積み重ねたら身長を超えてしまうくらい(ちなみに萱野氏はかなりの大男)必要だったと聞かされ、さらに日本で言うなら主食の米を食べるのを禁じられ許可を得るのに膨大な量の書類が要求されるのは世界的にあまり例がないと言われた。
この映画でアイヌが和人に武力で制圧された後に舐めた苦難は直接には描かれないが、想像を絶するものだったろう。

見たことはないが、アイヌが出てくる日本映画としては高倉健主演、内田吐夢監督の「森と湖のまつり」があって、配役表を見たら三國連太郎が出ていた。この「シサㇺ」の主演の寛一郎の祖父ですね。

日本人のことをワジンと呼んでいたので魏志倭人伝の倭人かと首をひねったのだが、字幕で和人と出たのでなーんだと思った。

北海道・白糠町のロケ効果が大きく、エンドタイトルで町長の棚野孝夫氏への謝辞が出る。

ただ、アイヌ役の役者が実際のアイヌではないのは気になる。アイヌの職業俳優がいないから仕方なくはあるのだが。






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