監督主演、共同脚本製作のデヴ・パテルというと「スラムドッグ$ミリオネア」の印象が強く、あれはインド原産ではなくイギリスが混じっていてスラムドッグというにはスマート過ぎやしないかと思っていたら、今回は血と汗にまみれた荒々しい一作を放ってきた。
アンダーグラウンドの格闘技の賭け試合ではルール無用の本当のデスマッチが行われていて、負け役をしていたパテルが心機一転強くなって戻ってきたらそれを潰すために打撃も何もまるで効かない怪物的な大男が出てくるあたり、梶原一騎かと思うくらい。
金的打ちで決まるというのもまるっきり「プロレススーパースター列伝」ばり。
激しい暴力描写の一方で、マチズモにはまらず、女性はじめ性的マイノリティにシンパシーを持った描き方は今のものと思える。
仇役の政治家がニセのカリスマなのは世界的な現実を反映したものと言っていいだろう。