prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」

2024年08月16日 | 映画
学校新聞の記者が何人かの友人の助けを借りて学校の理事長の専横な権力に支配された不正を暴くという、記者「ごっこ」遊びともとれる描き方だが、正義感の描き方に関しては画面の感覚がライトで肩肘はっていないが、大マジメ。

どんでん返しが上手くいくであろうことをあらかじめ予感されるのでハラハラする一方ある程度安心して見ていられる。

高嶋政広の理事長が、大きな身体とくっきりした顔立ちを生かした誇張気味の演技で敵役として魅力的。





「幸福なナザロ」

2024年08月15日 | 映画
初めのうちどんな方向に向かおうとしているのか、どんな時代設定なのかよくわからなかったが、中盤の目をむくような展開から加速度をかけたようにタイトルのナザロの意味もわかってくる。

画面は無造作なリアリズムで、実話ネタだというのだが展開の飛躍と周到な小道具の使い方が寓話性に向かう。
ラザロ役のアドリアーノ・タルディオーロが自然にイノセントな感じを出した。

タンクレディってヴィスコンティの「山猫」のアラン・ドロンみたいな役名だなと思っていたら監督によると意図的にそうしたのだそう。
「プリズン・ブレイク」の女医さんのサラ・タンクレディはどうか知らないが。




「このろくでもない世界で」

2024年08月14日 | 映画
タイトルそのまんまの内容。
十八歳の高校生ホン・サビンとその母、母の再婚相手の男と連れ子の女の子キム・ヒョンソという家族構成で、この再婚相手というのが酔ってはバットを振り回して暴れるかと思う酔いが醒めると急に義理の息子にぺこぺこ謝るのだが、かえってヤバい感じ。

バイク盗むのがヤクザのシノギって、どうにも貧乏くさい。
街の政治家候補も権力者未満という感じで、大物感はあまりない。
街全体に活気がない。

日本のヤクザは指つめるけど、韓国のヤクザは爪剥がすのね。
背が高く二枚目で、ただ耳に切れ込みが入っている兄貴分ソン・ジュンギが釣りにかこつけて寓話的なエピソードを語る。

兄貴分の弟分としては先輩が良い気になってんじゃないぞと凄むなど、いかにもホモソーシャルな世界な一方、疑似恋愛関係にある義理の妹や母親など対女性の関係も濃厚。





「この子を残して」

2024年08月13日 | 映画
長崎の原爆を描いているのだが、ピカドン式の描写を前半は外し気味にしているのは意外だった。

原作者にあたる永井隆博士役の加藤剛が原爆投下前にレントゲン用防護服を身につけていたりするのが目に見えない原爆症がじわじわと迫ってくる感じを暗示的に出していたと思う。

その後の描写もたんたんとしてサイズも引き気味、固定画面が主体で、色彩も抑制が効いている。
ただし開かれた戸の外に広がっている焼け跡の廃墟のスケールがさりげなくすごくてびっくりする。

木下恵介とすると「笛吹川」で戦国時代の合戦を再現しながら一向にエキサイティングにしようとせず、百性たちの生活の背景としか描かなかったようなものだろう。武張った描写を避けるのは根っからの体質と思える。

「ウルトラマン」の特殊造形で有名な成田亨が特殊効果を担当したラストシーンで一気に大破壊描写を持ってくるのだが、すでに起こってしまったことであり、取り返しのつかないことであり、「ターミネーター2」みたいには当然ならない。




「劇場版モノノ怪 唐傘」

2024年08月12日 | 映画
絵の凝りようは大したもので、特に和紙のでこぼこしたマチエールを模倣しているのにはびっくりした。
この手の劇場版の常で、その前段階の設定を知っておかないと理解しがたいところがある。

ふたりのヒロインのうち一人が髪の色からして外人かなと思ったら特にそういう設定ではなさそう。

エンドタイトルでずらっとクラウドファンディングした人の名前が並ぶ。
スタッフに中国人や韓国人っぽい名前が並ぶのはおなじみみたいなものだが、どの程度分担しているのか。





「お隣さんはヒトラー?」

2024年08月11日 | 映画
ウド・キアって、そういえば「ブラジルから来た少年」のヒットラーのクローンの少年時代と似ているな、と思った。
ヒットラーそのものに似ているとは実は思えないのだが、目のエキセントリックな印象がヒットラーのイメージと重なるということだろう。





「キングダム 大将軍の帰還」

2024年08月10日 | 映画
役の大きさも見せ場も大沢たかおが圧倒的で、なんだか大将軍を目指す若者の話から大将軍そのものの話になっちゃったみたい。

後半、回想がたびたび入るのが怒涛の流れを断ち切る感じで渋滞こそしないもののどうも関心しない。

盛り上がるだけ盛り上がり、見ている間は圧倒されるけれど、同時に終わりそうで終わらないという結果にもなっている。





「ツイスターズ」

2024年08月09日 | 映画
タイトルはいくらも違わないけどヤン・デ・ボン監督「ツイスター」のリメイクなので、さほど期待しておらず、「ミナリ」のリー・アイザック・チョン監督が辛うじて頼みの綱のつもりで見たら、キメの細かさと大作感を立派に両立させていた。

主演のデイジー・エドガー=ジョーンズはあまり馴染みがなかったけれど、キャリアを見ると主にテレビシリーズをやっていて、「ザリガニの鳴くところ」の主演と知ってそういえばそうでした。
どちらでも美人だとは思ってたのだが、結びつかなかった。イギリス出身の26歳。肌がきれい。

細かい伏線の対応が豊かで、人物の過去を順々にわからせていくのも上手い。
「オズの魔法使い」のヒロインのドロシーという愛称を前作の機械につけたのを受けて、3D対応の三つの機器にちなんでそれぞれライオン、カカシ、ブリキと名付けたりしている。

クライマックスに行きつくまでに三回も四回も大きな見せ場を用意し、基本的な人間関係まで入れ替えてしまう。

作中の映画館で上映されているのが前作の「シャイニング」に対して…というのがお楽しみ。ああいう旧作を映画館でやってるものですかね。





「デッドプール&ウルヴァリン」

2024年08月08日 | 映画
ディズニーがフォックスを買収したというのに合わせて、フォックスのロゴが地面に半ば埋まっているという楽屋オチをやっているのだけれど、なんだかシャレにならない。

知名度のあるキャラクターを一網打尽にでもしようというのか、こうもまとめて買い占めてどうする。
他に渡したくないというか、渡すわけにはいかないという資本主義の独占論理と見るのは僻目か。

見覚えはあるけれど、このキャラ、マーべルでしたってと思うようなキャラクターが続出する。
もとのキャラクターを知らない人間が見たらどうなのかという思考が完全に抜け落ちている。

飽和状態というか、とにかくてんこ盛り状態でまんぷく。だから面白くないかというと面白いには違いないのだから困る。





「シチリアーノ 裏切りの美学」

2024年08月03日 | 映画
冒頭、画面に数字が出てくるので何かと思ったら、抗争で殺されたマフィアの人数。画面に出る殺し場以外にもずいぶん殺されているのが、数字がたびたびとぶことからもわかる。

ブラジルの警察の取り調べというのが平気で被疑者を拷問するのも、イタリアの刑務所に女の「差し入れ」というのがあるというのもびっくり。

法廷の後ろの方に鉄格子があってそこで正装した証人(受刑者でもある)がいて、どうかすると被告と論争したりする。
罰金一億リラと言われても、もとのリラがどの程度の価値があるのかわからないのと、今はユーロに変わっているものでどうもピンと来ない。

この法廷の場面は演劇的、オペラ的と捉えていいと監督のマルコ・ベロッキオがメイキングインタビューで語る。




「めくらやなぎと眠る女」

2024年08月02日 | 映画
キャラクターデザインに相当違和感があった。日本人の顔というのは傍から見るとこういう風に映っているのかと(原作者が日本人で、映画の作り手も敬意を払っていると思えるだけに)日本人一般のセルフイメージとはかなりの落差がある。

村上春樹の長編はほとんど全部読んでいると思うが、短編となると怪しくなる。
それでいて、このテイストなるほど村上春樹っぽいと何度か思った。

村上春樹は昔は短編の名手という印象だったが、ある時期から意識的に長編にギアチェンジしたと自分で言っている。





2024年7月に読んだ本

2024年08月01日 | 
読んだ本の数:24
読んだページ数:5446
ナイス数:0

読了日:07月01日 著者:ラテン語さん



読了日:07月02日 著者:三島 由紀夫




読了日:07月02日 著者:康芳夫




読了日:07月04日 著者:パトリック・ネス




読了日:07月04日 著者:秋本 治




読了日:07月07日 著者:日向夏,ねこクラゲ




読了日:07月07日 著者:日向夏,ねこクラゲ




読了日:07月07日 著者:大賀零




読了日:07月08日 著者:秋本治




読了日:07月10日 著者:ラズウェル細木




読了日:07月10日 著者:さーたり



読了日:07月12日 著者:竹中 労




読了日:07月12日 著者:堀田あきお&かよ




読了日:07月13日 著者:うめざわ しゅん




読了日:07月13日 著者:うめざわ しゅん




読了日:07月14日 著者:伊藤計劃




読了日:07月14日 著者:さーたり




読了日:07月19日 著者:小松 左京




読了日:07月19日 著者:秋本治




読了日:07月19日 著者:竹中 労




読了日:07月22日 著者:室橋 裕和




読了日:07月26日 著者:秋本治




読了日:07月26日 著者:伊藤 理佐




読了日:07月29日 著者:大島 幹雄