シトロエンC3に、“Charleston”というモデルが出るという記事をネット上で発見した。
シトロエンC3は2CVをイメージしてデザインされたといわれていたが、これまでのC3は、ぼくにはあまり2CVを彷彿させなかった。しかし、この“チャールストン”は、ダークチェリーとブラックのツートンカラーに塗り分けられたボディからして、いかにも2CVの“チャールストン”を彷彿させる。
“チャールストン”というのは、あのシトロエン2CVの末期に発売されたバージョンである。
前に、“モース警部”のなかで書いたが、容疑者の愛人にして、オックスフォード大学の事務局の職員で、離婚歴のある女性が通勤に(そして密会の際にも)使っていたクルマである。
ぼくは、以前からこのシトロエン2CVが好きだった。個性的なうえに、ビートルやミニほど普及していないので、希少性がある。
昔、甲州街道だったか青梅街道だったかで、真っ黒な肌をしたアフリカ系の男が、ピンクに塗った2CVに乗っているのを見て、とても“格好いい!”と思ったことがある。横田基地のアメリカ兵のような感じだった。
30年以上前のことだが、今でも鮮明に覚えている。
本物を買う資力はなかったので、結婚前に女房からシトロエン2CV Safari”(サファリ)のミニカーをプレゼントされた。今もぼくの書斎の書棚に飾ってある。
カーキ色のボディに、濃グリーンの迷彩が施されていて、ボンネットに虎が描かれている。ボンネットとルーフ、ドアが開閉する。
“AUTO PILEN”の1/43 モデルで、Made in Spain と刻印してある。
そのうち、2CVは生産中止となってしまったが、このたびのC3“チャールストン”の発売である。またしても心が動く。
ただし、徳大寺先生の『間違いだらけの輸入車選び 2004年下半期版』(世界文化社、2004年、47頁)では、日本の市場で売りたいのならシトロエンはもっと勉強しなければいけないと、C3は酷評されていた。
おそらく燃費は10km/Lそこそこ、回転半径も大きく、センソドライブというやつも、わが日本車のCVTやATには及ばないだろう。アフタケアも心配(C3だっていつの間にか販売終了になってしまった)。
売り物のHBからピックアップまで5タイプに変化するといったって、結局はオープンにするのが関の山ではないだろうか。
なんと言っても、現地価格が約2万ユーロというから、日本では300万円を超えてくるだろう。そこまで払って買うことはないだろうけれど、スタイルだけは気になる。
プント・グランデ、フィアット500、アルファ・ミート、そして今回のシトロエンC3・チャールストンといい、どうして、ヨーロッパのクルマはこうも艶っぽいのだろうか。
養老孟司さんの「反・エコ」論に賛成するなどと言っておきながら、このところ公表される新車情報を見るたびに、つぎつぎと心が動く自分が情けない・・・。
* 写真は、どこか海外のHP(googleで“citroen c3 pluriel charleston”と検索したら出てきた)に載っていた“シトロエンC3 プリュリエル チャールストン”の壁紙。