きょう(9月25日、木曜日)のFOX CRIME(247ch) “メグレ警視”は、“フィンランドの犯罪”という題名だった(テレビの原題名は“Maigret en Finlande”)。
さっそく、長島良三編『名探偵読本2 メグレ警視』で調べたが、こういう題の作品はシムノンにはない。
作品の梗概をみたところでは、どうも『オランダの犯罪』の翻案もののようである。宗左近訳『オランダの犯罪』(創元推理文庫、原題は“Un crime en Hholande”1931年)をみると、容疑者がフランスの大学教授であり、被害者や犯人の名前など、まさに『オランダの犯罪』の舞台をフィンランドに移しただけのものであった。
何週間か前に見た『メグレと幽霊』も、原作の舞台はフランス(パリ18区!)だったのをフィンランドで起きた事件に仕立ててあった。
日本の夕方のテレビでやっている推理小説が、京都だの金沢だの湯布院だのを舞台にしたご当地ドラマが多いのと同じように、“メグレ警視”もフランス人に観光した気分にさせるためか、放映されているフィンランド人の視聴者に配慮でもしたのだろうか。
その割には、フィンランド警察の警視正は間抜けな役柄であったが・・・。
きのう(9月24日)の放送は、“メグレ警視 霧の港”というやつ。これの原作は、シムノンの“La port des brumes”(1931年)だろう。
2作とも小さな港町が舞台で、運河に浮かべたヨットの中でメグレものを執筆したという、いかにもシムノンらしい雰囲気の漂う作品だった。
* 写真は、FOX CRIME(247ch)“メグレ警視 フィンランドの犯罪”のタイトル。