近所の、大泉学園T-joyで“英国王のスピーチ”を見てきた。
ぼくは60歳以上なのでいつ見ても1000円、水曜日は女性は1000円なので、水曜日に出かけたのだが、夫婦ならいつでも1000円だった。
9時55分からの最後の上映だったが、観客は10人弱。映画は大丈夫だろうか、心配になる。ときどき見に行かなくては、老後の楽しみの場所がなくなってしまう。
映画は、吃音(どもり)に悩むジョージ6世(最初はヨーク公)(コリン・ファース)が、オーストラリア人の言語療法士ローク(ジェフリー・ラッシュ)によって吃音を矯正する物語。
ヨーク公は厳しい父親(ジョージ5世)の強圧的な態度が原因で、幼児からどもりに悩んでいる。1925年の大英帝国博覧会閉会式のスピーチに大失敗して以来、人前で話すことができなくなってしまう。
妻のエリザベス妃(現在のエリザベス女王の母親)(ヘレナ・ボナム=カーター)は、たまたま新聞広告で見つけたロークのもとを訪ね、夫の治療を依頼する。ロークは依頼者が王子と知っても、自分の流儀で治療する。二人は何度も対立するが、ヨーク公は最後はロークを頼る。
兄(エドワード公)がシンプソン夫人との結婚によって退位してしまうため、ヨーク公は心ならずも、ジョージ6世としてイギリス国王に即位することになる。
やがて、ヒットラーの暴虐に対してイギリスも宣戦を布告することになるが、国民の戦意を発揚すべくジョージ6世は全世界に向けてラジオで演説する。マイクの向かい側にはロークが立ち会って励ます。
演説は成功する・・・。
最初のうち、ヨーク公のどもりの表現があまりに生々しくて、不快な感じがした。後半は、かえって彼のスピーチや日常会話が流暢すぎて、これまた違和感があった。
エドワード公とシンプソン夫人の結婚は「純愛」物語かと思っていたが、この映画ではシンプソン夫人はすれっからしの中年女として描かれている。どちらが真実に近いのか。いずれにしても、元国王をこんな風に描けるところはイギリスもさすがである。
エリザベス妃(皇太后)は、かつてニュースなどで何度か見たことがあるが、大きな顔をした太った女性だった。演じた女優がちょっとやせすぎではないか。
でも、まずまずの水準作であった。1000円は高くない。
* “英国王のスピーチ”(原題は“King's Speech”)2010年、イギリス映画、監督トム・フーパー。
なお、写真は主人公のジョージ6世の横顔が彫られたイギリスの半クラウン銀貨(1948年)。コインを集める趣味はないのだが、子ど もの頃に、祖父がヨーロッパの学会に出かけたときのお土産にくれたもの。
2011/4/22 記