「新潮45」(2011年5月号)に、「永遠の処女」原節子 現存する最古の“幻”映像 という付録DVDがついている。
雑誌本体はいらないけれど、購入した。定価は通常号より100円高いだけの890円だが、ぼくのように付録だけがほしい人にとっては890円のDVDにオマケの雑誌が付いてきたようなもの。
DVDの解説は本体に載っているのだから仕方ないか。
原節子のデビュー3作目にあたる“魂を投げろ”(タマを投げろと読むらしい。)という昭和10年公開の野球映画(田口哲監督)の一部分が収録されている。
田舎の強豪校、常盤中学には伊沢と早崎という二枚看板のピッチャーがいるが、伊沢の父は「舶来遊戯」の野球を軽蔑し、息子が野球をすることを許さず、夏の大会直前に退部させてしまう。それでも伊沢は、ひそかに近所の海辺で投球練習を続けている。早崎の妹(原節子)がこれを助ける。
いよいよ大会が迫ったときに、早崎は病魔に襲われ、出場できなくなる。若いコーチの説得で、ようやく伊沢の父親も折れて、伊沢も出場できることになり会場近くの旅館にやってくる。しかし試合前夜に、旅館に「早崎危篤」の電報が届く。
そして試合の朝を迎える・・・、というところでフィルムは終わってしまう。
解説によれば、原作は飛田穂洲の小説を何本かあわせたものらしい。
野球がわが国の文化になって行く一こまを垣間見ることができた。ぼくの子ども時代は野球小説というのは、もはやなかったのではないだろうか。貸本屋の本の中に「長嶋茂雄物語」とか「王貞治物語」などはあったけれど、どちらかというと、「背番号0物語」とか「スポーツマン金太郎」(ともに寺田ヒロオ)とか「快球Xあらわる!」(怪球だったかも)などといった野球漫画が全盛だった。
原節子の出ている小津安二郎の映画はたくさん見たし、“我が青春に悔なし”や“青い山脈”なども見たけれど、個人的には原節子はそれほど好きな女優ではない。作りが大きすぎす感じがする。
ぼくとしては、今回の“魂を投げろ”に出てくる原節子が一番好感をもてた。
それにしても画面が汚すぎる・・・。
2011/4/23 記