豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

“カルメン 故郷に帰る”

2010年09月09日 | 映画
 
 本当は夕食後も“お勉強”の予定だったのだが、そして息子に模範を示さなければならなかったのだが、初日の夜は、木下恵介監督の“カルメン 故郷に帰る”のDVDを見てしまった。
 はじめから、見るつもりで持って来たのだが・・・。

 何といっても、“カルメン 故郷に帰る”は軽井沢が舞台である。どうせ見るなら軽井沢にいるときに見たい。しかも、この映画には懐かしの草軽電車が登場する。
 以前に買った“写真集 草軽電鉄の詩”(郷土出版社)に、「銀幕に登場する草軽電鉄」というコーナーがある(同書50頁以下)。
 そこには、“マダムと女房”(昭和6年)、“彼女はいやと言いました”(同8年)、“月はとっても青いから”(同32年)、“山鳩”(同34年)などと並んで、“カルメン 故郷に帰る”(同25年――と書いてあるが26年)も、草軽電鉄が登場する映画として紹介されていた。
 “カルメン ~”のDVDはアマゾンに中古品が安く出ていた(500円くらいだった)ので、買っておいたのである。

 なんとも不可思議な映画だった。
 ストーリーは、幼い頃に牛に蹴られたために頭が少しおかくなった娘(高峰秀子)が都会でストリッパーになり、仲間の女(小林トシ子)を連れて故郷の北軽井沢に帰ってきてから、再び東京に戻って行くまでのドタバタ劇を描いただけである。
 その冒頭シーンで、草軽電車が北軽井沢駅に到着し、あの客車から高峰秀子たちが降りてくるシーンがある。その後、草軽電車は一切登場しないが、ラストシーンで、再び北軽井沢駅を発車する草軽電車で高峰たちが去っていく。

 日本初の「総天然色」映画だそうだが、不自然なまでに鮮やかな浅間高原を背景に、高峰秀子たちが腿も露わにストリップの練習に踊りまくる。
 小学校の校庭では運動会の練習が行われ、体操着姿の教師(佐田啓二)がオルガンを引き、本番では盲目の元音楽教師(佐野周二)が作曲し自らオルガンで弾く暗いフォークダンス曲が流れる。
 村民たちは地元で初めて開かれるストリップ・ショーに興奮し、小学校の校長(笠智衆)がこの騒動を顰蹙する。
  
 笠智衆が演ずる校長が、「変わらないのは浅間山だけである」というセリフを吐くシーンがあった。まったく同感である。昭和30年代と比べても、軽井沢はあまりに変わってしまった。変わらないのは浅間山だけである。
 撮影された昭和25年の秋の光を浴びる浅間山と、その裾野に広がる浅間高原の風景だけが印象に残った。

 * “カルメン 故郷に帰る”(木下恵介監督、1951年。COSMO CONTENTS刊、“日本名作映画集60”)のケース。
 きのう平安堂書店に行ったら、「草軽鉄道」とかいうDVDが9800円(確か)で売られていた。草軽電車は懐かしいが、9800円はちょっと痛い。どの程度昭和30年代の旧軽井沢駅周辺の映像が写っているかによるのだが・・・。

 2010/9/9

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